「前のめりに失敗しろ」――広告事業に参入した老舗航空会社の“驚嘆すべき”考え方とは?:Marketing Dive
2024年10月に米ニューヨークで開催された「Advertising Week New York」にUnited Airlinesの幹部が登壇。航空業界初のメディアネットワークとなる「Kinective Media」について語った。
米大手航空会社のUnited Airlines(ユナイテッド航空)は2024年6月に、航空業界では初のメディアネットワークとなる「Kinective Media」を発表した。1億1000万人の旅行者と4000万人のマイレージプラス会員のデータから得たインサイトを活用したこのサービスは業界内で注目を持って迎えられ、クルーズ船の運航サービスを手掛けるNorwegian Cruise Lineや大手百貨店のMacy's、Unitedブランドのクレジットカードで協業するChase Credit Cardsなどと提携を結んでいる。
航空業界初のメディアネットワーク「Kinective Media」の特徴は?
広告主はUnited Airlinesのモバイル アプリや機内エンターテイメントスクリーンを含む幅広いチャネルでリーチを拡大することができる(画像はUnited Airlinesのプレスリリースより)
Kinective Mediaは、United Airlinesが保有する旅行者の行動データを基に、匿名化されたオーディエンスセグメントを作成し、モバイルアプリや機内エンターテイメント画面などを通じてパーソナライズされた広告や体験、オファーを顧客に提供するサービスだ。特にマイレージプラス会員に対し、リアルタイムで個別に最適化されたオファーを提供することで、ロイヤルティーの向上を図っている。利用許諾の得られたダースとパーティーデータを用いているため、利用者は個人情報が保護されたまま、広告主からのパーソナライズされた体験を享受できる点が特徴。既に旅行や小売業、金融サービスといった分野の広告を展開している。
マイク・ペトレラ氏は2023年9月に戦略的パートナーシップ担当のマネージングディレクターとして採用され、Kinective Mediaの開発において重要な役割を果たした。それ以前は、広告プラットフォームAdvertising.comの最初の3人目の社員として23年間在籍し、AOLやYahoo!への買収を経て同じ企業グループに属していた。
ペトレラ氏は2024年10月7日に開催された「Advertising Week New York」に登壇し、United Airlinesが約100年の歴史を持つ企業でありながら、全く新しい分野に進出していることに「驚嘆した」と述べている。
「古い体質の企業環境だと思っていましたが、当社のCEOは非常に先進的な考え方を持っていました。彼は、リーダーシップチームに対して『まず失敗しろ、さっさと失敗しろ、前のめりに失敗しろ(fail first, fail fast, fail forward)』というメッセージを伝えていた。それは予想外のことでした」(ペトレラ氏)
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