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「消されるためにあるマッチングアプリ」が純愛小説を出版 どういう戦略?Marketing Dive

真剣なパートナー探しを支援するマッチングアプリが、従来の路線を変更し、新たなマーケティング用コンテンツを発表した。その狙いはどこにあるのか。

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Marketing Dive

 マッチングアプリ「Hinge」は、2019年から「消されるためにあるマッチングアプリ(dating app designed to be deleted)」というキャッチフレーズで広告キャンペーンを実施している。

 2019年に初めてこのフレーズを使ったキャンペーンでは、正方形のフォルムに真っ白でふさふさの毛をまとったマスコットキャラクター「Hingie」が広告動画に登場して「Hingeは、私たちを殺してでもあなたに素敵な人と出会ってほしいのです」と訴えた(※)。

※編注:Hingieは交際が進展すると傷を負い、アプリが削除されると同時に消えてしまう。

「消されるためにあるマッチングアプリ」ってそもそもどういうこと?

 Hingeは真剣な出会いをサポートするために設計されたサービスであることを強調している。「消されるためにある」とはつまり、役目を果たしたら削除されるのが当然ということだ。

 2024年初めにリニューアルされたキャンペーンでは続編が登場した。そこではさらに一歩踏み込んで、たくさんのHingieがあの世に送られ、オラクル(天国の門で審判を伝える閻魔大王のような存在)に出会う。オラクルを演じたのはNetflixで人気のコメディードラマ「I Think You Should Leave with Tim Robinson(邦題:ティム・ロビンソンのコントシリーズ)」に出演した女優/コメディアンのパティ・ハリソンだ。

 これまでブラックユーモア路線を貫いてきた「dating app designed to be deleted.」だが、2024年の広告キャンペーンでは新しい展開を見せた。Hingeから実際に誕生したカップルの体験を物語にし、広告に使ったのだ。

 物語は、ロクサーヌ・ゲイ、ジョン・ポール・ブラマー、R・O・クォン、アイル・マッケルロイ、オシーン・マッケナ、ブロンテス・パーネルという現代の文学界の著名作家6人が執筆し、恋愛アンソロジー「No Ordinary Love」としてまとめられた。「No Ordinary Love」は2024年8月からWebサイトで公開され、同年9月からはニューヨークとロンドンで印刷物としても配布される。このキャンペーンは、ライフスタイルマガジン「DAZED & CONFUSED MAGAZINE」の社内クリエイティブエージェンシーであるDazed Studioがディレクションし、制作した。


Hingeの「No Ordinary Love」キャンペーンは、Hingeで出会った6組の実在のカップルをモチーフに、現代文学者が書いたラブストーリーのアンソロジーを中心に展開される(画像はHingeのプレスリリースより)

 HingeでCMO(最高マーケティング責任者)を務めるジャッキー・ハントス氏は「Dazed Studioの仕事により、Hingeが信頼できるアプリだと感じられ、20〜30代の人たちがアプリを試すきっかけが生まれている。若い人の興味を引くコンテンツを宣伝に活用すれば、Hingeに触れてもらう機会を増やすことにつながる」と語る。

(「Z世代狙いだからこそ“紙媒体” 『消されるためにあるマッチングアプリ』HingeのCMOが語る逆張り発想」に続く)

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