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ソーシャルメディア利用年齢規制でMetaより損をするのは?Social Media Today

ソーシャルメディアの利用は16歳以上に制限されるべきなのだろうか。そうだとしたら、実行可能な方法とはどのようなものなのだろうか。

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 ソーシャルメディアにアクセスできる年齢制限はどうあるべきか。そして、これを有意義かつ効果的な方法で実施するにはどうすればいいのか。

 現在の年齢制限ツールはほとんど効果がなく、ユーザーの正直さに依存している。さまざまな方法が提案され、一部のアプリではすでに導入されているものの、若者が年齢を偽ってサインアップするのを完全に防ぐ決定的な解決策はないのが実情だ。

青少年に害の多いソーシャルメディア 年齢規制にMetaの提案は?

 オーストラリア政府は、ソーシャルメディアプラットフォームに強制的な年齢制限を提案して16歳未満の青少年に制限をかけた最新の国となった。しかし、実行可能な年齢確認システムが整っていないため、これらの提案は問題点を指摘するだけに留まっている。オーストラリア政府は、年齢確認のためのいくつかの方法を試していると述べているが、詳細を提供していないため、実際に解決策を持っているかどうかは不明だ。

 同様の年齢制限提案はすでにデンマークや、英国、フロリダ州などの国・地域で提出されているが、やはりプラットフォームを責任ある立場に置くための真の手段がなく、現時点では解決策が見つかっていない。

 立法者たちは正しいことを言っているのだろうが、彼らが問題を真剣に検討しているのか、それとも単なる有権者向けのPR戦略でそうしているのかは分からない。

 このような規制変更により最も大きな影響を受ける企業の一つは、Metaだろう。MetaはGoogleとAppleにアプリダウンロードレベルで年齢制限を強制することを求めている。Metaの提案は、分類パラメータが何であれ、年齢制限があるアプリを16歳未満のユーザーがダウンロードする際には保護者の許可を得ることを義務付けるものだ。

 このように、OSレベルで統一的な年齢確認システムを導入することで、多くの問題を解決できる可能性がある。すでにAppleやGoogleのアカウントでは若年者向けに親の同意が必要な仕組みが導入されているため、実現可能な案として注目されている。

 しかし、ここでどのアプリが最も影響を受け、どのアプリが恩恵を受けるのかにも注意する必要がある。

 確かに、Metaは16歳未満のユーザーが突然アプリからブロックされた場合に損失を被る。しかし、Snapchatは8億5000万人のアクティブユーザーのうち20%が17歳未満であると報告されており、TikTokの全米の視聴者の3分の1が15歳以下であると推定されている。

 このようなルールが実施されれば、これらのアプリにとっては、より大きな損失となるだろう。また、Metaは年齢制限を導入するための新しい措置を公に支持する一方で、同時に「Horizon Worlds」におけるVRソーシャル体験の年齢要件は下げている。もしMetaがそうであるように、これがソーシャルメディアインタラクションの未来だと信じているのなら、Metaは進んで旧態依然としたパラダイムでの制限を推し進め、一方で次のステージでまた同じ問題を引き起こしているように思える。

 恐らく、Metaはこのような措置が短期的には自社にも影響を与えることになっても、競合他社により大きな打撃を与えることを望んでいるのだろう。そして、規制当局が注意を払っていない間に、どさくさ紛れにVRについてのルール変更をしてしまおうというのだ。

 そもそも、実際に年齢制限は導入すべきなのか。

 ソーシャルメディアの使用が青少年に有害である可能性があることを示唆する証拠は増えており、アクセスの制限がこれを軽減する可能性はある。しかし、非力だったり時間がかかったりする方法ばかりで、真に実行可能な検知やゲーティングのプロセスはまだ見つかっていない。

 結論として、ソーシャルメディアへのアクセスに年齢制限を設けることには賛同が集まっているものの、効果的な年齢確認の仕組みが整うまで、これらの提案はPRの一環にすぎない可能性が高い。


【ITmedia マーケティング編集部追記】

 Metaは2024年9月17日(米国時間)、10代の利用者にコンタクトができる人や彼らが見るコンテンツを制限する保護機能を組み込んだ「ティーンアカウント」をInstagramに導入すると発表した。13歳から17歳の利用者は自動的にティーンアカウントに設定され、16歳未満の利用者が設定を変更する場合は保護者の許可が必要になる。米国、英国、カナダ、オーストラリアで同日から60日以内に提供を開始し、年内にはEU域内も対応予定です。日本を含むその他の国の10代利用者は2025年1月にティーンアカウントを利用できるようになる。また、2026年にはMetaが提供する他のプラットフォームでもティーンアカウントを導入する予定だ。

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