健康意識は横ばいでも「体調データ測定」への関心は爆増 なぜ?――電通ウェルネス1万人調査:今日のリサーチ
電通の専門組織の電通ヘルスケアチームは、日本全国の20〜60代の男女計1万人を対象に、第18回ウェルネス1万人調査を実施しました。
電通でヘルスケア領域のビジネス支援を担う専門組織「電通ヘルスケアチーム」は、日本全国の20〜60代の男女計1万人を対象に実施した「第18回ウェルネス1万人調査」の結果を発表しました。2007年から毎年実施しているこの調査では、生活者の健康意識や行動、ヘルスケア領域における最新動向や市場ニーズを生活者の視点で調べています。
全体傾向としては、体の状態や食生活や運動量などをチェックしたり自宅でできる運動や入浴施設を利用するなど「頑張り過ぎない」を意識した健康行動が日常生活の中に取り入れられていることが分かりました。
女性は「日々のコンディション把握」に関心、男性は?
特に睡眠やメンタルヘルスの測定と記録への注目が引き続き高く、健康行動を見える化してSNSやブログで発信する行動も高まっています。健康のための工夫や努力を周囲から認められたい、ほめられたいといった気持ちが高まっていると考えられます。
関心のあるヘルスケアデータの質問では、女性は「心の疲労度」「睡眠の質」「ホルモンバランス」など日々のコンディション把握への関心が高く、男性は、「血圧」「体脂肪率・内臓脂肪レベル」など健康診断で指摘されやすい項目への関心が高いことが明らかになりました。
ヘルスケアデータを活用したサービスの利用意向については全体の半数以上が「利用したい」と回答したものの、「有料でも利用したい」と答える人は10%以下にとどまりました。
ヘルステックが浸透していることも明らかになりました。使用意向率および現在使用率が最も高いヘルステックは、「心拍数や歩数、睡眠の質などを測定できる腕時計型デバイス」で、現在使用率は2020年比で181%に成長しています。栄養状態や腸内環境を把握できる検査キットや、睡眠の質を測定できるベッドや寝具も伸長傾向にあります。
今回の調査に関する記者向けの説明会の中で電通ヘルスケアチームの瀧口友香氏は、浸透するヘルステック領域の今後について「チェックの後どうやったら行動に移せるのか。行動が移しやすい、 ハードルを乗り越えられるための演出でデジタルは強いと思う。行動する人の背中を押すようなヘルステックについて、日本に限らずグローバルの視点でもいろいろ事例を探っていきたい」とコメントしています。
健康のための商品にかける1カ月当たりの金額は、直近5年間の調査の中では最も少ない1269円でした。一方で、健康のためのサービスにかける1カ月当たりの金額は、2023年の896円から増えて948円でした。インフレによる買い控えが影響していると考えられます。
2022年から質問項目にあるウェルビーイングという言葉の認知度については、2022年の20.8%から10ポイント以上増加し31.1%になりました。ただし、依然として7割近い人は見聞きしたことがないとも言えます。内容まで理解している人となると7.0%で、1割にも満たない結果となっています。
2024年の調査では、軽度不調の原因に関する質問も新設しました。日頃悩まされている軽度不調の原因として、気圧の変化など天候の影響を挙げる回答が多く、近年の気候変動の影響が考えられるとしています。その他、ストレスやホルモンバランスの変化を原因だとする回答も目立ちました。
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