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ホワイトペーパー制作が続かない! 苦しまず量産するため、どうすればいい?B2B企業のためのホワイトペーパー作成・活用術【後編】

前編ではB2B企業にとって本来あるべきホワイトペーパーの役割と成果を出すための3つの使い方について紹介しました。後編ではホワイトペーパー量産のための体制づくりについて解説します。

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 著者が経営するCone運営の資料作成代行サービスc-slideは、これまでに累計850社以上の資料作成を支援しており、中でも7、8割がB2Bセールス・マーケティング関連の資料となっています。支援内容は調査に始まって構成、文章作成、分析、活用と、多岐にわたります。また、支援実績数以上に数多くのご相談にも対応してきました。

 実際にホワイトペーパー施策が走り出した段階でよく課題に挙がるのが「どうやって作り続ければ いいのか」「人手が足りない」というものです。当社のような会社に外注するのも一つの手ですが、月1本程度であれば工夫次第で内製も可能です。後編では、内製のための体制づくりについて解説します(前編はこちら)。

ホワイトペーパー制作が続けられない……4つの解決策とは?

 ホワイトペーパー施策に取り組む企業にとって最大級の難関が「継続」です。多くの企業がネタ切れに悩んだり他の業務に圧迫されたりしてホワイトペーパー制作が止まってしまい、思うように、結果が出ないというケースに陥ります。

 弊社が資料作成代行サービスを運営する中でも「ホワイトペーパーの制作が続けられない」という相談は非常に多くなっています。複数のクライアントにヒアリングしたり実際に現場の実態を見せてもらったりした経験から、制作が止まる原因として、以下の4つを特定しました。

  1. 意識不足:他の業務に比べてホワイトペーパー制作の優先度が低い
  2. 継続力不足:タスク、スケジュール管理ができていない
  3. ネタ切れ:作成する内容が定まっていない
  4. 制作力不足:シンプルなリソース不足

 この4つの原因をどうやって解決し、ホワイトペーパー量産体制を構築していくのか。それぞれの課題の解決策を紹介します。

解決策1:組織の意思としてコストをかける

 まずはホワイトペーパー施策に対する意識の低さを改善するために、社内の意識改革から始める必要があります。

 ホワイトペーパー施策に注力する本来の目的は以下の2つです。

  • 潜在層リードを獲得して中長期的に商談化する
  • 取りこぼしたリードを商談に引き上げる

 要するに、中長期的にではあるものの「売り上げをつくる」動きになります。

 現段階では課題感の強くない見込み客に対して「〇〇の改善方法〜〜選」などの役に立つホワイトペーパーを制作することでまず自社の信頼を獲得した後、顧客の課題が強くなったタイミングで自社を想起してもらい、問い合わせを獲得する。要するに、本来は獲得できなかったかもしれない層を獲得できるのが、ホワイトペーパー施策です。

 また、過去に商談したものの失注になってしまった顧客に対して、彼らが必要な情報をホワイトペーパー化して配信し続けることも重要です。接点を維持しておくことで、第一想起から再商談化につながることがあるからです。

 しかし、それを社内ミーティングなどで説明しても、目的やメリットを理解していないメンバーは残念ながらいま一つピンと来ません。

 社内のコンテンツへの投資の意識不足に最も効果的な対策は「コストをかける」ことです。具体的には、マーケティング予算の3分の1程度はホワイトペーパーに充てるくらいのイメージです。実際にコストがかかっているとなれば、責任が生じます。少なくとも成果物だせないことの言い訳はできなくなるでしょう。この「意思決定」は嫌でも社内にインパクトを与えることになります。

解決策2:制作フローの定型化でペースをつくる

 次は、継続力不足に対するアプローチです。ホワイトペーパー制作の意識が高くても実際に手を動かして「つくる」のは簡単なことではありません。一度ペースが乱れてしまうと簡単に更新が止まってしまいます。

 そこで、組織内での「ホワイトペーパー制作フロー」を定型化します。企業によってフロー内の詳細タスクは変わってくるとは思いますが、例として弊社が支援した企業に提案したフローを紹介します。

ホワイトペーパー制作フローの一例
1 ネタ収集 ・営業担当からネタを収集
2 企画 ・定例ミーティングで議論
・これまでのホワイトペーパーの配信結果の分析・共有
・テーマの決定
3 構成・調査 ・構成作成と必要情報の調査
4 制作 ・ホワイトペーパーのデザイン制作
・ホワイトペーパー設置ページの制作
・メルマガで送付する文章の作成
・Facebook広告バナーの作成など
5 配信 ・Facebook広告やメルマガで配信

 まずは毎週同じ日に、顧客と接する営業担当から「顧客が知りたがっていたこと」「顧客に相談されたこと」などの情報を集めます。それを基に定例ミーティングで、何をテーマに次のホワイトペーパーを作成するのかを議論し、決定します。その際に、これまで配信してきたホワイトペーパーのCVR(コンバージョン率)などの結果を分析することで「顧客が知りたいこと」の解像度を上げて企画に磨きをかけていきます。

 定例ミーティングでテーマを決定したらホワイトペーパーの構成を決めます。アンケート調査などが必要な場合は迅速に実施し、デザインを起こしていきます。

 ホワイトペーパー施策はバナーや設置ページなどの準備も必要になるため、制作期間は長めに設定しておいたほうがいいでしょう。制作が完了したら配信して、そのホワイトペーパーの成績をモニタリングしていきます。

  • ネタ収集:1週目の火曜日
  • 定例ミーティングでのテーマ決定:1週目の水曜日
  • 制作・準備:1週目の木曜日〜4週目の金曜日
  • 配信:次の月の1週目の月曜日

と、タスクを分解して定型のペースをつくることで、進捗管理や分析業務が行いやすくなり、効率的な制作と施策実施が可能になります。


(画像提供:Cone、以下同)

解決策3:ネタ切れになりそうになったときの3つのヒント

 一度ネタが切れてしまうとペースが乱れ、やがて更新がストップしてしまうという負のスパイラルを経験したことがあるマーケティング担当者も少なくないと思います。定期的に営業担当をヒアリングして顧客の相談や質問からネタを集めてもらっていたとしても、ネタが切れることはあります。奥の手として、ネタ切れになりそうになったときの3つのコツを紹介します。

ネタ切れ回避のコツその1:サービス紹介資料からの切り出し

 既存の資料からターゲットが知りたい情報のみを切り出してホワイトペーパーを作成します。例えばターゲットがコンサル業界で事例を欲しがっている場合は、自社サービスのコンサル業界の事例を集めて切り出し、まとめます。ターゲットが競合製品との違いを気にしている場合は、競合比較表やカオスマップなどの資料を抽出します。

 例えば、弊社が支援した営業支援SaaSベンダーのSales Marker様では、サービス紹介資料の事例部分を展開して既存リードの掘り起こしとFacebook広告に活用するなど、スピーディーな制作を実現しています。

ネタ切れ回避のコツその2:ウェビナー資料のホワイトペーパー化

 過去に開催した獲得したいターゲット向けのウェビナー資料をホワイトペーパー用に調整します。ウェビナー資料は「見る・聞く」用の構成で、ホワイトペーパーは「読む」用の構成にする必要がありますが、ウェビナーはすでに「顧客が知りたがっていること」が内容になっているためテーマ出しとしては最適です。ウェビナー中に出た質問と回答などをホワイトペーパーに追加すると、ウェビナーを受講した方にも有効なコンテンツになります。

 Sales Marker様の支援中にも、ウェビナー資料を大量にホワイトペーパー化し、再利用することで効率良くマーケティング施策として機能しています。

ネタ切れ回避のコツその3:オウンドメディアの記事内容を変換

 ウェビナーを数多く開催していない企業もあると思います。その場合はオウンドメディアで公開している記事をホワイトペーパー化します。ターゲット向けの記事があれば、その内容を膨らませてホワイトペーパー化することができます。

 弊社はアプリ制作・運用プラットフォーム「MGRe」を提供するメグリ様を支援させていただきましたが、こちらでは、公開済みの記事の内容をホワイトペーパー化。メルマガで配信し、ホットリード化した顧客に対してアプローチをかけることで商談化する、という流れを小さい制作工数で実現しています。

 コツ1〜3については、弊社の記事「マーケティングコンテンツ大量生産による商談数増加」(外部リンク)も参考にしてみてください。

解決策4:ホワイトペーパーをフォーマット化して制作スピードを上げる

 制作リソース不足に対処する上では、制作スピード向上の仕組みを用意することが絶対条件です。まずは会社の資料全体のフォーマットを統一しておくことから始めましょう。

 資料ごとにフォーマットが統一されていなければ、資料内から必要な要素をスムーズに抽出できません。うまくコンテンツの使い回しができず、結果毎回同じ作業を繰り返す必要が生じます。資料の大枠がシンプルなデザインで統一されていると、必要な要素をコピー&ペーストするだけで新しいコンテンツが完成するため、制作時間を短縮することができます。

 また、ホワイトペーパーが30ページであれば、そのうちの5〜10ページに相当する冒頭やサービス紹介部分は毎回同じものを使い回すこともできます。ひな形となるフォーマットを整えておくことは非常に有効です。

 ホワイトペーパーの基本構成は以下の通りです。

セクション 目安ページ数 詳細
表紙 1ページ ホワイトペーパーのタイトル
はじめに 1ページ 内容の概略や読むメリットを記載
コンテンツ(中身) 10〜20ページ ダウンロードする顧客が知りたいこと
サービス紹介 3〜5ページ 自社サービスや自社の紹介
CTA 1ページ 次のアクションの提示

 読者の皆さんのために、上記基本構成を踏まえたホワイトペーパーのテンプレートを用意しましたので、以下のページ(外部リンク)からダウンロードし、編集してご利用ください。

 とはいえ、制作段階は時間がかかる工程ですので「制作のみ」外注を依頼してみるのも良いと思います。


 以上、前後編2つの記事でホワイトペーパーの基本的な考え方と使い方、続け方について解説してきました。本連載がマーケターの疑問や課題を解決できるヒントになることを願っています。

寄稿者紹介

佐藤立樹

さとう・りき 立命館大学卒業後、2019年株式会社Coneを設立。資料作成代行サービス「c-slide」や記事作成代行サービス「c-blog」などのBPO事業を展開し、BPOサービス比較サイト「b-pos」をリリース。BPO事業は累計支援企業900社超、比較サイトは累計掲載200社超の経験から、コンテンツマーケティング、コンテンツセールスについての情報を発信。

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