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マーケターとクリエイターがAIに仕事を奪われないための心得5選【前編】Marketing Dive

生成AIツールの進化により、マーケターとクリエイターの労働環境は急激に変化している。著作権の問題やビジネスモデルの転換が求められる中、どのように自らの仕事や権利を守ればよいのか。

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Marketing Dive

※本稿は、コンテンツマーケティング会社Growth Stack Mediaの創設者、ジョーダン・ミッチェル氏による寄稿記事です。

 筆者はキャリアを通じて、コンテンツクリエイターが情熱を持って仕事に取り組みながらも、生計を立てることの難しさを目の当たりにしてきた。コンテンツを創作するためのスキルを磨いたり、説得力を向上させたりすることは大切な取り組みだ。一方で、コンテンツマーケティング業界がビジネスの世界であるということを理解することも同じように重要だ。

 人工知能(AI)ベンダーOpenAIの「ChatGPT」といった生成AIツールが広く普及し、その性能は急速に向上している。特定の個人を模倣したような音声や、以前は熟練したプロが多くの時間と労力をかけて制作していた魅力的なショート動画を、AIツールを使って簡単に生成できるようになった。この結果、クリエイターとそのパートナーであるマーケターとの間では、コンテンツの著作権の帰属を明確にし、適切な協力関係を構築することの重要性が高まっている。

 米国では、上院議員4人が法案「Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe Act」(NO FAKES Act:視聴覚著作物や画像、録音物に出演する個人の同意無しにAIが生成した複製物を無許可で制作したり配布したりすることを禁止する法案)を提出した。しかし、法律だけでは個人のクリエイターや企業が制作したコンテンツの整合性を完全に保護することはできない。自らの権利を守るためには、自らが積極的に行動する必要がある。AIツールを効果的に活用しつつ、自分たちの権利を守るためのヒントを5つ紹介する。

マーケターとクリエイターがAIに仕事を奪われないための心得5選

  • 心得その1:クライアントと緊密な協力関係を構築する
  • 心得その2:テクノロジーを活用する
  • 心得その3:自分を守る法律を把握しておく
  • 心得その4:最新の動向を把握する
  • 心得その5:明るい見通しを持つ

心得その1:クライアントと緊密な協力関係を構築する

 コンテンツの利用と著作権の帰属に関する規約を定める。関係者全員がコンテンツの利用条件を理解し、規約に同意していることを確認できるように、オープンなコミュニケーションを心掛ける。

 プロジェクト開始時までには業務範囲を明確に定義し、成果物の帰属に対する相互理解を図る。クライアントが成果物に対してのみ対価を支払うのであれば、クリエイターはプロジェクトで使用したソースファイルや素材そのものを提供する必要はない。コンテンツをどのように利用するのか、配信先やライセンス(利用許諾)の要件についても事前に合意を取っておくことが重要だ。

 クリエイターが提出した成果物をクライアントが独自に追加編集した場合、契約違反に該当し、クライアントには追加の支払い義務が発生する可能性がある。追加編集には、コンテンツの整合性を保持するための技術的スキルが必要だ。クライアント側でのコンテンツの追加編集はおすすめしない。

 クライアントがソーシャルメディアでコンテンツを使ったプロモーションを実施する際には、クリエイター自身を投稿にタグ付けするよう依頼できる。クライアントが同意しない場合でも、将来的に自分のソーシャルメディアでそのコンテンツを公開したり、ポートフォリオに活用したりする旨を伝える。

 クライアントが成果物をクライアント社内でのみ利用する、もしくはインターネット上で公開しない場合は、将来的な混乱を避けるために、秘密保持契約(NDA)を締結できるかどうか確認する必要がある。アナログのコンテンツだけでなく、デジタルコンテンツでも同様だ。

 NDAといった法的な文書には、クリエイターのコンテンツがどのように利用されるかにかかわらず、クレジット(著作権者の名称)を明記する条項を含める。AIのトレーニングや、その他の二次利用が想定される場合、著作権利用料やその他の形の報酬を受け取れるように交渉しよう。

心得その2:テクノロジーを活用する

 コンテンツの著作権を保護するためには、法的効力を持つ文書を締結するだけでなく、ツールの活用が重要だ。全てのデジタルコンテンツにはコンテンツの詳細データ「メタデータ」を含める。メタデータは、暗号化したり、メディアファイルに埋め込んだりすることができる。

 ショート動画プラットフォーム「TikTok」は、Adobe主導のCAI(Content Authenticity Initiative)に参加している。TikTokはアップロードされたAI生成コンテンツに自動で「コンテンツクレデンシャル」と呼ばれるメタデータを付与するようになった。これはコンテンツを守るための第一歩だが、無料の編集ツールを使用して簡単に削除できてしまう。さらに、AIがオリジナルのソース追跡が困難になるほど動画を変化させる。メタデータだけでは問題を完全に防ぐことはできない。

 完璧な解決策は存在しないものの、ブロックチェーン技術は大きな可能性を持っている。ブロックチェーンを使用すればコンテンツの来歴と著作権を追跡し、クリエイター作品の著作権を、透明かつ改ざんが難しい形で保護できる。

 ブロックチェーンは、NFT(非代替性トークン)で利用されている。NFTは著作権を証明し、不正な複製を防ぐためにデジタル作品を保護するのに役立つ。類似のブロックチェーンベースのサービスを他の形式のコンテンツにも適用できれば、クリエイターのクレジットを作品の利用時に確実に表示できる可能性がある。

(後編に続く)

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