半数近くは「備えができていない」 生活者3000人に聞いた防災対策の現状:今日のリサーチ
クロス・マーケティングが生活者の防災対策に関する調査を実施。実施している防災対策や災害発生時の情報収集源を聞いています。
クロス・マーケティングは2024年8月7日、全国20〜79歳の男女3000人を対象に「防災に関する調査(2024年)備え・実践編」を実施し、結果を公開しました。この調査では、防災対策の実施状況や災害発生時の情報収集源に着目して分析をしています。生活者はどれくらい、どのように地震に備えているのでしょうか。
「災害に対する家庭内の備え」を5段階で聴取した結果、「備えができている」(「しっかりできている」「どちらかといえばできている」の合計)と答えた人は17%でした。一方で「備えができていない」(「どちらかといえばできていない」「全くできていない」の合計)と答えた人は半数近くの47%に達しました。ここ3年間の調査結果を見ても、生活者の災害への備えが進んでいないことが分かります。
具体的な対策内容は? 災害時の情報収集源は?
調査では、具体的な防災対策を3つのカテゴリーに分けて聞いています。まず、「物の備え」カテゴリーで最も多かったのは、「懐中電灯やランタンなどのあかり」の準備で41%。次いで「乾電池」(38%)が多く、「非常食・保存食・ペットボトルの水」(34%)、「カセットコンロ・ガスボンベ」(32%)と続きました。
「室内・室外の備え」カテゴリーでは、「自宅近くの避難所・避難場所の確認」が35%で最も多く、続いて「家具の転倒、落下、移動防止対策」(27%)が多く挙げられました。「コミュニケーションの備え」カテゴリーのトップは、「固定電話の契約」(34%)。2位の「防災アプリ速報アプリをインストール」(16%)に大きく差をつけました。
次に最寄りの避難所、避難場所、避難経路の確認状況を尋ねたところ、38%の人が「自宅近くの避難所・避難場所」を把握していました。そのうち、「大体の移動時間を把握しているが、実際に確かめたことはない」が19%、「大体の移動時間を把握しており、実際に確かめたこともある」は16%でした。有職者と学生には「勤務先・通学先近くの避難所・避難場所」を把握しているかどうかも尋ねましたが、把握していたのはわずか10%にとどまりました。自宅、勤務先ともに近隣の避難場所を確認し、安全で迅速な避難の準備を整えておくと安心できそうです。
災害発生時から数日後までの情報収集源で最も多くの回答があったのは「テレビ」(50%)でした。次いで「ラジオ」(20%)が多く、「市町村などの自治体のインターネットサイト」(19%)、「気象庁のインターネットサイト」(15%)が続きました。
情報収集源を年代別に見ると、「テレビ」「ラジオ」「企業庁・自治体・NHKなどのインターネットサイト」や防災行政無線といった項目は年代が上がるほど回答率が高まる傾向にありました。一方で年代が若いほど、公共機関や個人アカウントのSNSによる情報収集をする割合が高い傾向にありました。
2024年8月8日には宮崎・日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生しました。これを受けて気象庁は同日、「南海トラフ臨時情報」を発表し、「新たな大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まっている」と警告しています。広い地域で防災対策の必要性が高まっている現在、わが身を守る備えについてあらためて見直してみてはいかがでしょうか。
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