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ウエルシアのマーケターが語る チラシにはできなくてTikTokだとできること集客&ブランド強化を実現した秘策

TikTok for Businessが広告主、ビジネスオーナー、広告代理店向けに開催したカンファレンスイベント「ILLUMINATE 2024 Summer」から「ウエルシアが登壇!TikTokを活用して店舗集客とブランド強化を実現した秘策を語る」と題したセッションのハイライトを紹介する。

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 小売店舗の集客と売り上げ向上のためのプロモーションに欠かせなくなっているのが、ショート動画プラットフォームの「TikTok」だ。本稿では、Bytedanceの広告事業チームであるTikTok for Businessが広告主、ビジネスオーナー、広告代理店向けに開催したカンファレンスイベント「ILLUMINATE 2024 Summer」から「ウエルシアが登壇!TikTokを活用して店舗集客とブランド強化を実現した秘策を語る」と題したセッションのハイライトを紹介する。登壇者はウエルシア薬局マーケティング部の竹見憲一氏とNEL COOの寺尾直人、ファシリテーターはTikTok for Business Japanエージェンシーパートナーシップマネージャーの佐藤圭介氏が務めた。


左から佐藤氏、竹見氏、寺尾氏

もうTikTokがなければマーケティングができない

 消費者の情報取得経路が多岐にわたるようになった今日、ブランドが顧客接点としてデジタルチャネルに注力するのは自然な流れと言える。とりわけ若者への認知拡大のために重要度が高まっているのがTikTokだ。

 NELはTikTokをはじめとするソーシャルメディアを活用して企業のマーケティングを支援している。メーカーからブランド認知や店頭売り上げを向上させるためのプロモーションを依頼されることが多いが、寺尾氏は「もうTikTokを使わなければマーケティングができない」と断言する。

 少し前までならば、デジタルチャネルを通じた情報取得というと、消費者が自分で気になるものを検索するのがメインで、それが購買の起点になると考えるのが普通だった。しかし、TikTokをはじめとするプラットフォームの台頭で、購買のきっかけがより受動的になっているというのが、寺尾氏の見立てだ。  「ユーザーがコンテンツを探すのではなく、コンテンツの方からユーザーに当たりに行くようなイメージ。プロモーションにおける全体の消費行動に合ったマーケティングソリューションとなると、やはりTikTokの活用ということになります」(寺尾氏)

 レコメンドシステムは消費者の潜在的な欲求を掘り起こし、ブランドと消費者に新しい出会いの場を提供する。小売業のマーケターとして竹見氏がTikTokに強く期待するのもこの部分だ。

 「TikTokは、興味を持っているものがどんどん出てくる仕組みが非常に優れていると思います。リテールではこれまで主にチラシで情報発信していましたが、それとは別の形で、もしくはチラシを見ない人と情報の受け渡しをする上で、TikTokは非常に有効だと思います」(竹見氏)

 チラシなどテキスト中心の媒体では伝えきれない魅力を、視覚や聴覚を通じてダイレクトに訴求できる縦型ショート動画というフォーマットならではの魅力もある。ウエルシア薬局はプライベートブランド「からだWelcia」の新商品として発売した冷凍食品のプロモーションにTikTokのUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用した。竹見氏によれば、このことで実際に売り場で変化が起き始めている。これまでであれば「昨日テレビCMで見た商品」「チラシに載っている商品」が売っているかという問い合わせを受けることが多かったが、最近はそこに「TikTokの動画で見た商品」が加わった。

 「商品のおいしさや、こんな感じのものなんだという視覚的な魅力がすごく伝わってくるのはショート動画ならでは。テキストベースのコンテンツとは全く別物の印象を与えていると感じます」(竹見氏)

 寺尾氏はNELが手掛けたロート製薬「メンソレータム フラッシュティントリップ」のプロモーション事例を紹介した。NELはユーザーが推し商品を動画投稿することで再生数に応じた報酬がもらえるサービス「osina」を提供している。これを通じて投稿されたコンテンツが1カ月半で175本、合計再生数は約1500万回に上った。また、単に話題化のみならず、売り上げにも貢献した。店頭では欠品が出るほどだったという。

TikTokを活用して感じる壁とその乗り越え方

 もちろん、TikTokでUGCキャンペーンを実施すれば何もかもうまくいくわけではない。実際、コンテンツはたくさん作られるものの認知や店頭売り上げの向上などの具体的な成果になかなか結び付かないと悩むブランドは多い。

 寺尾氏はこうした課題に対して「一般の人々がいかに素敵なコンテンツを作ってくれるかが重要」と指摘し、メンソレータム フラッシュティントリップのプロモーションの成功要因に関して「商品の魅力に加えて、それを一般消費者の“素人感”がある動画で伝えられたことで、 結果的に見た人に自分ごと化されやすくなった。『私もこれ欲しい』といったコメントも多く付いて、レコメンドシステムの中で回りやすいコンテンツになったと思っています」と解説した。

 NELが着目する指標がSOV(Share Of Voice)、すなわち投稿全体の中で自らのブランドに関する言及が占める比率だ。単にたくさん見られているだけでは不十分で、エンゲージメントを生み出してこそ質の高いコンテンツになる。メンソレータム フラッシュティントリップはハッシュタグ「#リップ」における同商品の投稿シェア率が、プロモーション施策実施前後で0.01%から0.59%へと、飛躍的に伸びた。

UGCからFGCへ

 ブランドや商品を愛好する人々が作るUGCを、NELは「FGC(ファン生成コンテンツ)」と定義する。osinaはFGCをより多く作るためのサービスであり、ブランドの愛用者を通じてエンゲージメントを生み出し、新しい顧客を作る仕組みと言える。

 「端的に言うと、一般のお客さまの声をそのままコンテンツ化することで、店頭売り上げとブランド認知を向上することが実現できます」(寺尾氏)

 クリエイターが単に商品を紹介するだけのUGCでは、見る側の心に残るコンテンツにはなりにくい。FGCはファンが自発的に創造するものなので、商品の魅力を圧倒的な熱量を持って伝えてくれる。寺尾氏はFGCを「推し活の一種」と言い切る。

 osinaの報酬は再生数に応じて支払われる仕組みなので、クリエイターは動画を撮って終わりでなく見られるコンテンツに仕上げようと動機付けられる。ブランド視点でいえば、クリエイターに「案件」として発注するよりもはるかに安価で大量のコンテンツを作ることができるし、再生されない低品質なコンテンツに課金されることがなく、投資が無駄にならない。

 竹見氏は「リテール側の課題として、実際にはPOSで見て売り上げが上がっているのにTikTokになじみのない人にはまだ『本当にこの施策でいいんだろうか』という感覚が根強く残っている。osinaのようなプラットフォームを使って成果を数字で見える化することは、今後施策を強化していく上でも非常に重要」と付け加えた。

 ファンであるクリエイターがPDCAサイクルを回して成果を出し、それが知見として蓄積されてさまざまな訴求軸のコンテンツが生み出されるのは、TikTokのマーケティング活用における勝ち筋の一つだ。当然、コンテンツを生み出すファンとの付き合い方もブランドにとって無視できないテーマになってくる。  寺尾氏は「クリエイターには個人的な意見があるし、ブランドにも自社の世界観はこれであるべきというものがある。お互いの思いを受け止めながらしっかりと対話をして、目指すべき世界を一緒にディスカッションしていけるかどうかが大事」とまとめた。

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