検索
調査リポート

新紙幣の発行、3社に1社が日本経済に「プラスの影響」と回答――帝国データバンク調査今日のリサーチ

20年ぶりの新紙幣発行は日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。帝国データバンクが調査しました。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 2024年7月3日、日本銀行が新しいデザインの紙幣を発行しました。これを受けて帝国データバンクは、新紙幣が日本経済に及ぼす影響について調査しました。調査期間は2024年7月5日〜10日、有効回答企業数は1003社です。

 新紙幣発行が日本経済にどのような影響があると思うか(見込み含む)を尋ねたところ、「プラスの影響がある」(プラスの影響の方が大きい)が35.1%で最多でした。「マイナスの影響がある」は14.3%にとどまり、「影響なし」は32.5%でした。


新紙幣が日本経済に及ぼす影響(出典:帝国データバンク、以下同)

企業規模で反応に差も 新紙幣発行の具体的な影響は?

 調査では、「券売機などの対応は大変なようだが、20年に一度の新紙幣発行は国民の気分を高揚させる」(飲食料品・飼料製造)といった意見や、「機種入れ替え・システム改修などかなりの業務内容になり、更にそれらのキャッシュレス対応を兼ねる動きも出てくると、円安などで経済マインドが停滞するなか、大きな経済効果だと考えられ、期待できる」(建設)など、新紙幣発行を歓迎する声が聞かれました。

 ただし、企業規模別で見ると「大企業」では45.0%がプラスの影響と回答しているのに対し、「小規模企業」では27.5%と20ポイント近い差があります。実際、「コロナ以降、非接触やデジタル化が進むなか、新紙幣発行は一部業界では入れ替え需要などの特需が見込まれるが、それを利用する多くの中小零細企業は、機種入れ替えやシステム改修などで費用捻出を迫られ、景気浮揚に逆効果となる恐れの方が高い」(運輸・倉庫)といった声もありました。


プラスの影響・規模別

 それでは、具体的にはどのような影響を感じているのでしょうか。複数回答で聞いたところ、最も多い回答は機種入れ替えやシステム改修など「企業の費用負担の増加」(55.5%)でした。それに「特需による企業の売り上げ拡大」(37.3%)が続いています。「セルフのガソリンスタンドを数店舗営業しているが、紙幣投入機の入れ替えコストがかなり負担」(専門商品小売)といった声がある中で、「金銭機械メーカーより精密板金加工の仕事をもらっている」(鉄鋼・非鉄・鉱業)といった声もあるなど、調査では機器やシステムを新紙幣へ対応するための負担や特需についての声が多く寄せられています。


新紙幣による具体的な影響

 それ以外には「渋沢栄一の生誕の地の深谷なので、イベントなどで盛り上がっている」(卸売)といった声も。「肖像の人物ゆかりの地・企業の活性化」(35.6%)や「キャッシュレス化の後押し」(31.6%)への期待も上位に上がっていました。

 

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る