Pinterestが考える「広告主に役立つAIソリューション」とは?:「カンヌライオンズ2024」に先立ち発表
PinterestはAIを活用したクリエイティブ制作、キャンペーンのパフォーマンス向上、ブランドセーフティーの測定などの詳細を新たに発表した。
Pinterestは、2024年6月17〜21日にフランス・カンヌで開催された「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」に先立ち、広告主向けに幾つかの新たなAIソリューションの詳細を発表した。
新しいイノベーションプログラム「Pinterest アドラボ」
今回の目玉の一つが、広告の新ツールの試用版をテストできる新しいイノベーションプログラム「Pinterest アドラボ」だ。米国で一部のブランドに提供されている同プログラムの狙いは、実験を進める中でフィードバックから学び、より良い新ツールを迅速に市場に投入することにある。
現時点では具体的に、以下のような機能を提供している。
パーソナライズされた背景の生成
各ユーザーの好みのスタイルやトレンドに基づいてクリエイティブをパーソナライズ。プロダクトピンのクオリティーとユーザーのエンゲージメント向上のため、「ジャパンディ」「オーガニックモダン」「ミニマリズム」など、ユーザーの好みに合った背景を生成AIが作成する。この機能には、Pinterestのビジュアル検索とテイストグラフの技術を活用した独自の生成AI基盤モデルが使われている。
広告主向けのコラージュ作成
さまざまなビジュアル素材を切り抜いて組み合わせるコラージュは、Pinterest でキュレーション、アイデアやインスピレーションのシェア、ショッピングをするための新たなツールだ。これを広告向けに提供することで、よりユーザーの目にとまりやすく購入体験につながりやすい魅力的なコンテンツを作ることができる。
選ばれた広告主は、コラージュ内の製品をタグ付けし、それをショーケースまたはコレクション広告としてプロモートすることができる。これをタップすることでユーザーはブランドや製品について詳しく知ることができる。
キャンペーンの成果を高める「Pinterest Performance+」
Pinterestは、目標に基づいたキャンペーンを簡単に構築して広告主のパフォーマンスを向上させるために、「Performance+」と呼ばれる新しいAIベースの自動広告キャンペーンをクローズドβテスト中だ。初期のテスト結果によると、ほとんどの広告主がコンバージョンとカタログ販売キャンペーンで獲得コスト(CPA)を10%以上改善し、比較検討キャンペーンではクリック単価(CPC)が10%以上改善したという。Performance+の一連のツールによりキャンペーン作成時間を大幅に短縮し、必要な入力が50%減少して時間効率が大幅に上昇した。
ブランドセーフティーへの取り組みも拡大
Pinterestは、オンラインでのよりポジティブな体験を提供するために、コンテンツポリシーを通じてブランドセーフティーをデフォルトとするだけでなく、アドベリフィケーション領域のリーダー企業と協力して、プラットフォームの安全性を検証している。具体的にはIntegral Ad Science(IAS)と提携し、「Total Media Quality for Pinterest」の一環として、広告が利用可能な全てのマーケットでGlobal Alliance for Responsible Media(GARM)のフレームワークに準拠したブランドセーフティー測定を提供している。IASのAI駆動型マルチメディアテクノロジーは、機械学習を用いて画像、音声、テキストを 1 フレームごとに分析し、大量のピンを正確に分類する。βテスト中のある広告主のキャンペーン結果によると、Pinterest上で測定された広告インプレッションの99%がブランドセーフと評価された。
今後はDoubleVerifyとの提携も開始予定で、広告主がPinterestキャンペーンでブランドセーフティーおよびブランドスータビリティー(適合性)の測定をグローバルに提供できるようにする。
Pinterest アドラボは現時点では米国で一部の広告主限定でテストを実施している段階だ。その結果のフィードバックに基づき、日本を含むグローバル展開を予定している。Pinterest Performance+も年内を目安にグローバル展開を検討中だという。
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