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ドクターペッパーが米炭酸飲料市場2位に躍進――ペプシ超えを成し遂げたすごいマーケティング【後編】Marketing Dive

「選ばれし者の知的飲料」として知られ、確固としたファンベースを築いたDr Pepper。新たな顧客獲得に重要な役割を果たしているのが、革新的なフレーバーの開発だ。

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Marketing Dive

 炭酸飲料市場は、より健康的な飲料の選択肢を求める需要に応えて新しい消費者を取り込もうと必死で、新しいフレーバーやブランド拡張の取り組みに溢れている。Coca-Colaは、Creationsプラットフォームをグローバルマーケティングの重要な一部としており、Pepsiは季節の食の瞬間をテーマにした期間限定フレーバーを強化している。Dr Pepperも例外ではない。

3億ドル以上の売り上げを稼ぎ出した新フレーバーとは?

 2023年、ストロベリー&クリーム味は3億ドル以上の売り上げを稼ぎ出した。一方、期間限定新商品のクリーミーコナッツ味は、調査会社Circanaのデータによれば、と発売後わずか5週間で2022年のダークベリー味と比較して販売量が50%以上上回った。

 Dr Pepperのブランドマーケティングシニアディレクターであるブラッド・レイクス氏は「このブランドを成長させるために、来年だけでなく、今後5年、10年のことを考えるならば、新規顧客の獲得は非常に重要な戦略となる。そして、新フレーバーは他の何よりも大きな効果を発揮する」と語る。


Dr Pepperのクリーミーココナッツ味(画像提供:Keurig Dr Pepper)

 一般的に、新しいフレーバーは若い消費者や多文化の消費者によく売れる。しかし、まだ全体の成長の半分以上を定番のDr PepperとDiet Dr Pepperから得ている以上、コアビジネスからあまりにも遠くへ進み過ぎてしまわないように気を付けなければならない。

 「カテゴリー内で多くのことを行うこと中で、イノベーションが基盤を崩してしまうようなこともあり得る。フレーバーは重要だが、基盤となるビジネスが損なわれるほどに重視したいとは思わない。われわれはそのバランスを適切に取れていると思う」とレイクス氏は語る。

アジャイルマーケティングモデル

 Dr Pepperは幸いなことに、頻繁に購入してくれるコアな消費者を含む忠実なファン層を持っている。最近、Dr Pepperにピクルスを入れて飲むという流行(外部リンク/英語)があったように、ブランドへの忠誠心や愛情はさまざまな形で現れる。Dr Pepperはこのトレンドにすぐに飛び乗り、TikTokで動画を公開。260万回以上視聴されている。

 この反応速度の早さは、ホリスティックでアジャイルなマーケティングモデルによるとレイクス氏は説明する。同氏によればこのモデルは現代のマーケティングにおいて一般的になりつつあるデータやツールだけではなく、タイミングよく反応できる人材とプロセスに依存している。

 レイクス氏はブランドと代理店のスタッフにまたがるマーケティングチームについて「彼らには柔軟性があり、決断を下し、迅速に行動する権利がある」と説明し、「私たちは、人々が賢明な決断を下し、行動することを可能にする助けとなる」と付け加えた。

 その機敏さは、ブランドが大学フットボールやフレーバーの革新といった分野でCokeやPepsiと同じ土俵で戦う助けになっている。しかし、競合他社との関係は特異だ。というのも、Dr Pepperは主にCoca-ColaとPepsiCoによって流通されているからだ。Dr Pepperが消費者の熱狂と一貫性と革新のバランスを取ることは、ブランドだけでなくパートナーにとっても有益となるのだろう。

 「私たちは自分が何者であるかも、何をすべきかも分かっている。私たちはそれに集中すれば、そして私たちがうまく仕事をすれば、バリューチェーン全体(自社、株主、ディストリビューター、小売業者)のパートナーの皆が利益を得られるはずだ」(レイクス氏)

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