若年層の4人に1人が自分の位置情報を共有する「位置シェアラー」――博報堂とLinQ共同調査:今日のリサーチ
位置情報をシェアすることで生まれる新しいつながり「シン密圏」の実態に関する調査結果です。
博報堂と博報堂DYグループのSIGNING は、“人間経済学”の社会実装を目指して研究と実践を行うプロジェクト「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」の一環として、位置情報共有サービス「whoo your world」を運営するLinQと共同で、「シン密圏」の実態についての調査レポートを発表しました。
位置情報共有がもたらす新しいつながり「シン密圏」とは?
シン密圏とは、SNSが社会インフラとなった現代社会において、位置情報をシェアすることで生まれる「親しさ」から拡がる新たなつながりを指す概念。今回のレポートをまとめるに当たっては全国の10〜60代男女を対象にWeb定量調査を実施した他、位置情報共有サービスをすでに使っているユーザーのデプス調査、位置情報共有サービスを使ったことがない20〜40代を対象とする実証実験を実施しています。また、位置をシェアする行動の背景にある価値観や行動の因果をエスノグラフィ視点で分析する「イチノグラフィ」という独自のアプローチを採用し、有識者へのインタビューも実施しました。
まず位置情報共有サービスの利用経験について聞いたところ、10代の28.2%、20代の17.2%が「利用している/利用したことがある」と回答。10代では4人に1人以上が「位置シェアラー」であることが分かりました。
また、10〜20代で位置情報共有サービスの利用経験がある、もしくは現在も利用している人を対象にした調査では、「SNSの友だちの中でも情報を公開する相手を限定している」という回答が60.5%に上りました。また、SNSやアプリごとに、つながる相手のイメージについて7段階で点数をつけてもらい(7点:非常に親しい人とだけつながる、1点:全く関わりがない人ともつながる)、その集計結果である「親密度」を比較したところ、XやInstagram、LINEなどを抑えて位置情報をシェアするアプリがトップになりました。
大阪大学SSI特任研究員の佐久間洋司氏は、位置情報共有サービスを“存在のシェア”ができる最初のSNSと捉え、「位置情報共有サービスによって、“存在のシェア”が行われることで、自他の境界が曖昧になり、コミュニケーションがスムーズになったり、集団の合意形成がしやすくなったりすることが期待できます。 位置のシェアを“存在のシェア”が拡がる最初の段階だとすると、今後は『感じていること・やっていること・見ている風景』などが理解し合えるようになると考えられます」とコメントしています。
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