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“AI美女”を広告に起用しない ユニリーバ「Dove」はなぜそう決めたのかMarketing Dive

Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、「Real Beauty」の20周年を機に、生成AIツールをより包括的な方法で使用するためのガイドラインを公開した。

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Marketing Dive

 Unilever傘下の美容ケアブランド「Dove」は、20周年を迎える「リアルビューティー」キャンペーンの一環として、広告やコミュニケーションで人工知能(AI)を使用しないことを宣言した。

 「The Code」と題した新たな動画では、女性たちが映画『夢のチョコレート工場』でおなじみの曲である「ピュア・イマジネーション」のドラマチックなバージョンにのせて、AI画像ジェネレーターに美とはどんなものかを求めるプロンプトを送信する。だが、返ってくる結果は非現実的なものばかりだ。動画ではその後、多様な女性が描かれ、テクノロジーによって何ができるかについてのDoveのビジョン示されてる。

 Doveはまた、生成AIの利用者が多様性を反映した画像を作成できるよう、「Real Beauty Prompt Guidelines」を制定した。同ブランドはまた、リーバ・マッキンタイア、ドリュー・バリモア、ビーニー・フェルドスタイン、マルサイ・マーティンなどのセレブアンバサダーの協力を得ての協力を得て認知度を高めている。

AIは本物の美しさを表現することに対する「最大の脅威」


新たな広告動画「The Code」では、女性たちがAI画像ジェネレーターにプロンプトを入力して美とはどのようなものかを確認しようとするが、現実離れした画像ばかりが生成される(出典:Doveのプレスリリース

 Doveはプレスリリース(外部リンク/英語)の中で、AIは本物の美しさを表現することに対する「最大の脅威」の一つだと述べ、この新興テクノロジーが20年来戦ってきたデジタル加工された画像と一線を画すものだとしている。動画の中では女性が暗い部屋に座り、「a gorgeous woman(ゴージャスな女性)」や「perfect skin(完璧な肌)」といったテキストプロンプトを入力すると、画面には漫画のように完璧な仕上がりが現れ、「Pure Imagination」の物悲しいテイクが流れる。この演出は現在のAIツールの潜在的な有害性を示している。

 Doveによると、コマーシャルに登場する全てのAI画像は実際に生成AIツールを使用して作成されたという。このグローバルなマーケティング活動を主導したのは、ブラジルを拠点とする独立系代理店のSokoだ。

 Doveは今後、広告で本物の女性の代わりにAI生成モデルを使わないことを約束することによって、美容分野のいくつかの競合他社との差別化を図ろうとしている。インターネットは既に信頼に悪影響を与えているが、AIはそれを増幅させる可能性があるとDoveは考えている。Doveの調査では、女性の10人に9人が、オンラインで有害な美容コンテンツに触れたことがあると回答している。

 プレスリリースは、2025年までにオンラインコンテンツの90%がAIによって生成されるという予測にも言及している。Doveの担当者はこの数字について、2023年のCESのパネルディスカッションの一部としてAI予測を語った作家のニーナ・シック氏によるものだとしている。シック氏は2025年までにオンラインコンテンツの90%が、少なくとも部分的にはAIで作成されるようになるかもしれないと述べていた。

 DoveのCMO(最高マーケティング責任者)であるアレッサンドロ・マンフレディ氏は「Doveは、アルゴリズムではなく、女性が本当の美しさを決定し、宣言できる未来を求めている。私たちは、新しく出現するテクノロジーに伴うチャンスと課題をナビゲートしながら、リアルビューティーを守り、称え、支持することを約束し続ける。私たちのコミュニケーションにAIを使用しないと誓うことは、一つのステップにすぎない。全ての女性にとって、美が不安の源ではなく、幸福の源となるまで、私たちは立ち止まることはない」とコメントしている。

 同時にDoveは、ChatGPTのようなソフトウェアへの関心が急増する中で生成AIの採用が無視できなくなっていることも認めている。先述の調査によると、米国の18歳以上の女性の24%、10〜17歳の女性の41%が、AIを使って異なるバージョンの自分を作り出すことは力を与えることになると回答した。Doveは「Midjourney」や「DALL-E」のような人気の生成AIプログラムを最大限に活用するための包括的な指針となるReal Beauty Prompt Guidelinesを発表することで、これらの熱狂的なユーザーを正しい方向に導くことができると期待している。

 Doveは2004年以来、美の定義を広げることに一定の進展があったとしながらも、やるべきことはまだたくさんあると強調した。PR会社EdelmanのDXI部門と提携したDoveは「The Real State of Beauty(美の実態)」と題するレポートを作成し、女性の3人に1人以上のが自分の理想の外見を実現するために人生の1年間を費やすと回答していることを明らかにした。調査員は3万3000人以上の回答者に話を聞き、20カ国で大規模な調査を実施した。

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