博報堂が開発した「“フレキシブルショッパー”クラスター」を活用して分かること:買い物状況×8つのクラスターで生活者を捉える
博報堂買物研究所は、独自調査を基に開発した「“フレキシブルショッパー”クラスター」を活用し、日用消費財メーカーや小売業のマーケティング支援を強化するコンサルティングサービスの提供を開始した。
博報堂のシンクタンクである博報堂買物研究所は、設立20周年プロジェクトの第二弾として、独自調査を基に開発した「“フレキシブルショッパー”クラスター」を活用し、日用消費財メーカーや小売業のマーケティング支援を強化するリテールメディア・売り場作りコンサルティングサービスの提供を開始した。
多くの生活者は“フレキシブルショッパー”
ECの普及に伴い、生活者はオンラインとオフラインの垣根を越えて購買チャネルを自由に選べるようになった。一方で売る側においても、オンラインとオフラインのデータを統合して一人一人に最適な買い物体験を提供するユニファイドコマースへの注目が集まっている。このような背景を受けて博報堂買物研究所が調査したところ、生活者の買い物意識や買い物の仕方は購買チャネルや商品カテゴリー、用途といったシチュエーションごとに異なることが判明した。博報堂買物研究所ではこうした生活者を“フレキシブルショッパー”と定義した。
従来のショッパー分類では「どこで買うか」「何を買うのか」「誰と使うものか」などのシチュエーションごとに分析ができず、“フレキシブルショッパー”を捉えられないという課題があったそこで、こうした課題に対応するため、博報堂買物研究所は買い物意識を基に8つのベースクラスターを設定した上で、チャネル(リアル店舗、ECなど)、商品カテゴリー(食品・飲料、日用品など)、用途(自分用、共用)の組み合わせごとにクラスターを特定できるソリューション「“フレキシブルショッパー”クラスター」を独自開発した。
“フレキシブルショッパー“クラスターを使うことで特定のチャネルや商品カテゴリー別の購入状況が分析できるため、生活者の正確な理解につながる。また、チャネルごとに顧客の特徴を比較することも可能だ。博報堂買物研究所では、“フレキシブルショッパー”クラスターを活用して顧客分析の精緻化や買い物するシチュエーションに応じたリテールメディアプラニング、広告配信セグメント設定などを支援する。
実際に購買チャネル、商品カテゴリー、用途ごとの買い物意識を調べてクラスター分析を行ったところ、多くの生活者がシチュエーションごとに異なる買物意識のクラスターに分類されることが分かった。例えば、チャネル視点で検証すると、過半数の人がリアル店舗(コンビニを除くスーパーマーケット、ドラッグストア、ディスカウントストア)とECでは異なるクラスターに分類される。また商品カテゴリー視点、用途視点でも同様の結果になった。
フレキシブルショッパークラスターを活用したコンサルティングでは、シチュエーションごとの買い物意識の違いの分析や、チャネル別のクラスター構成比の分析、クラスター別の購買データ分析などを提供する。
具体的には以下のような分析を行うことができる。
買い物するシチュエーションごとの買物意識の違いの分析
特定商品カテゴリーにおいて、チャネル間でどれだけフレキシブルな購買行動が起きているか分析が可能。例えば、「食品・飲料」を「自分用」に買い物する際、「EC」で『ルーティン命』に分類される人の72%は「リアル店舗」においては『ルーティン命』以外に分類された。その中でも『直感信奉者』は21%と多く出現しており、ECでは一度決めた商品を買い続ける一方、リアル店舗では直感を信じて買う様子が確認できる。
チャネル別のクラスター構成比の分析
「食品・飲料」を「自分用」に購入する際のチャネル別のクラスター構成比を見てみると、「リアル店舗」では『最安追及』(22%)、『コスパ見極め』(19%)、『直感信奉者』(17%)の順に多く、「EC」では『ルーティン命』(20%)が最も多く、リアル店舗では3%だった『口コミ研究家』が16%と大きく割合を伸ばしている。このように、クラスター構成比はシチュエーションごとに大きく異なることが分かる。
クラスター別の購買データ分析
「リアル店舗」における「食品・飲料」の購入者当たり購入金額をクラスター別に分析すると、購入金額が最も多いのは『買物マイスター』、次いで『クオリティ管理者』『コスパ見極め』となった。実際のプラニングでは、商品単位での分析や特定チャネルでの絞り込みなど、より詳細な購買データ分析を通じ、各クラスターにおける購買行動の特徴を分析することで、生活者の解像度を高めることが可能。
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