Z世代の「情報疲れ」はなぜ起きるのか？：今日のリサーチ

サニーサイドアップがシタシオンジャパンおよび同社顧問で社会学者の鈴木謙介氏とZ世代に関する研究をするに当たり、「Z世代の情報疲れ」に関する調査を実施しました。

[ITmedia マーケティング]

　サニーサイドアップは、統合マーケティング会社のシタシオンジャパンおよび同社顧問を務める社会学者の鈴木謙介氏（関西学院大学社会学部社会学科准教授）と協力し、Z世代に関する研究を開始しました。そのスタートに当たり「Z世代の情報疲れ」について、アンケート調査とグループインタビューを実施。その結果と分析を公表しています。

若年層にとってのデジタルメディア

　デジタルネイティブでありコスパやタイパを重視し、自分が価値を感じたものを購入するという特徴があると言われるZ世代に、消費に関連する情報収集について聞きました。「現代では、商品に関する情報が過剰なほど出回っていると思う」という質問に対して、男性の約4割（42.9％）、女性の約6割（57.1％）が「そう思う」と回答。女性の方が「情報が過剰だ」と感じていることが分かりました。

「現代では商品に関する情報が過剰なほど出回っていると思う」と回答した人の割合（出典：サニーサイドアップのプレスリリース、以下同）

　ここで「そう思う」と回答した人の約7割（69.１％）が、「商品の購入後に『失敗した』と思いたくないので、できるだけ情報を吟味」していると回答。加えて「買い物好き」な人は「動画サイトは、ちょっとしたスキマ時間につい見てしまう」（72.５％）、「SNSの投稿はしっかり見るのではなく、だいたい流し見している」（66.３％）、「一日の中で長い時間を動画視聴に費やすことがある」（61.0％）と回答しており、情報収集はザッピング的に行うことが多いことが分かりました。

「現代では商品に関する情報が過剰なほど出回っていると思う」と回答した人の情報収集について

「現代では商品に関する情報が過剰なほど出回っていると思う」かつ「買い物好き」と回答した人の情報収集について

　一方、グループインタビューでは、「情報量が多いとは思わない」「興味のない情報は多いと感じる」「情報がありすぎて本当に自分にとって最適解なのかが確信を持てない」という意見が多く挙がりました。つまりZ世代にとって「情報疲れ」をもたらしているのは、「調べれば調べるほど興味のない情報や、信じていいかわからない情報に遭遇する」という「情報迷子」の状態であると言えそうです。

　インタビューで聞くことのできた声を基にまとめた情報疲れの原因は以下の3つです。

• 自分がコントロールできない情報：誰かからの連絡やプッシュ通知などの情報は、自分のタイミングやペースを乱されるだけでなく、未読通知が溜まることそのものが強いストレスの原因になる
• せっかく調べたのに徒労に終わる情報：どれだけ検索しても求める情報に出合えないといった出来事が、労力に対するリターンの低さから情報疲れを引き起こす
• 自分の考えや価値観を否定する情報：動画に寄せられるネガティブコメントのように「入ってくる内容を自分ではコントロールできない情報」に対しては、もともと思っていた態度がゆらぎ、不安な気持ちをかき立てる

　インタビューで分かった情報疲れへ対処法は、以下の4パターンがあるようです。

• キュレーション派：あえて興味のある商品の広告にアクセスすることでSNSを自分の関心に染めて、おすすめの情報が入りやすくする
• 複数アカ活用派：興味のあるカテゴリーごとにアカウントを作り、それぞれの情報が混ざり合わないように使い分ける
• 情報デトックス派：通知をオフにしたりスマホをリビングに置いて寝たりすることで、物理的に情報との接触を遮断する時期を設ける
• 情報探し・購入諦め派：情報を探しすぎて迷子になり、決められなくなってしまったら「今は買うべきときではない」と購入を諦めてしまう