Apple Vision Proをいち早くマーケティングに活用したコスメブランド「E.l.f.」がやったこと:Marketing Dive
化粧品ブランドのE.l.f. Cosmeticsが、複合現実型ヘッドセット「Apple Vision Pro」のマーケティング活用に参入した。ガイド付き瞑想やインタラクティブな「ペイントバイナンバー」ゲームなどのリラックスできるアクティビティーでユーザーの癒しを促す。
E.l.f. Cosmetics(以下、E.l.f.)は、発売されたばかりの「Apple Vision Pro」用のビューティーショッピングアプリを発表し、複合現実型ヘッドセットの活用例を開発した最初の美容ブランドの一つになった。
イノベーションを目指すブランドがApple Vision Proを使うのは自然なこと
2024年2月2日にAppleの待望の複合現実ヘッドセット「Vision Pro」が発売され、既に消費者とブランドの双方から賞賛の声が上がっている。同社は、1月中旬にヘッドセットが先行販売されてからわずか数日で、16万台から18万台を販売したと報じられている。発売時のヘッドセットには600ものアプリやゲームが搭載されており、その中にはZillowからJ.Crewまで幅広いブランドが含まれている。
E.l.f.最高デジタル責任者のエクタ・チョプラ氏は、Vision Proのキャンペーン展開はデジタル主導の同ブランドにとって進化であると言う。チョプラ氏はプレスリリース(外部リンク/英語)で「Apple Vision Proで展開するという決断は当社にとって自然なことであり、あちこちのコミュニティーと出会い、参加者を楽しませるために不可欠なことだ」と述べた。
visionOS(Vision Proのオペレーティングシステム)に搭載された「your best e.l.f.」アプリはObsessが開発したもので、ガイド付き瞑想、ストレッチエクササイズ、インタラクティブな「ペイントバイナンバーズゲーム」などのアクティビティーを通じて、ユーザーがリラックスし、「最高の自分を探求する」ことを目的としている。ユーザーはさらに、アプリ内で購入できるE.l.f.の人気製品「Holy Grail」にインスパイアされた3つの環境(Camo Cove、Big Mood、Halo Glow)を探索することができる。
リリースによると、アプリ内の商品や「your best e.l.f.」内の場面は3Dでモデリングされ、Vision Proデバイスのそれぞれの目から4Kディスプレイでレンダリングされた。この体験はVision Proの3Dユーザーインタフェースの利点を生かすようにデザインされており、ユーザーが手と目の動きで操作することができる。消費者はマイクロサイトを通じて、この体験版にオンラインでアクセスすることもできる。このアプリを宣伝するため、E.l.f.はApple Vision Proが当たる懸賞も実施する予定だ。消費者はブランドのソーシャルチャネルで応募方法を詳しく知ることができる。
Vision Proで体験を作成したブランドは、E.l.f.の他に、スーパーボウルをテーマにした体験を開始したSnickersや、Style Studioの住宅改善体験を開始したLowe’sなどがある。
Morgan Stanleyのアナリストは、Appleが2024年に最大40万台のVision Proを出荷すると予想している。しかし、この分野はE.l.f.にとって重要な層である若年層の消費者に支持を得られなかった歴史がある。そのため同社が成功を収められるかどうかは、時間が経ってみなければ分からない。2023年のPiper Sandlerの調査によると、10代の若者のうち29%がVR機器を所有していると回答しているが、ヘッドセット所有者のうち毎日使用しているのは4%にすぎない。
E.l.f.にとってApple Vision Proの活用は、イノベーションに焦点を当てた他の多くの動きに続くものだ。例えば同社は2023年11月にRobloxのユーザーに金融リテラシーと起業スキルを教えることを目的とした体験を提供した。2019年にはオリジナルソングをフィーチャーしたTikTok初のブランドハッシュタグチャレンジを手がけた。そして2024年にE.l.f.は初の全米スーパーボウルCMを展開している。
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