節約意識が高い人ほど年間支出が多いってどういうこと?:今日のリサーチ
博報堂買物研究所は、2021年秋から続く値上げと物価高騰にともなう生活者の意識と行動の変化を調査ました。
博報堂とグループ12社の戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ」傘下のシンクタンクである博報堂買物研究所は、「値上げ・物価高騰に関する生活者調査」を実施しました。
アンケートと購買データ(マクロミル「QPR」)の両面から調査した結果、生活者は多くの商品項目において値上げを実感していることが分かりました。「食品・飲料」カテゴリーでは6つの商品項目において8割以上、「トイレタリー」カテゴリーと「健康食品/栄養補助・機能性表示食品/トクホ」ではそれぞれ6割以上の生活者が「値上げを実感」と回答しており、「お菓子・スイーツ」「インスタント食品」「パン・シリアル」における値上げの実感は9割を超えました。
節約行動の中身と生活者のジレンマ
特に値上げの実感が大きかった「食品・飲料」カテゴリーの購入において節約を意識する生活者(「少しは意識して買い物する」「意識して買い物する」「とても意識して買い物する」と回答した人の合計)は全ての商品項目で8割を超え、「インスタント食品」「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「冷凍調理品」では9割を超える結果となりました。
節約を意識する人の節約行動としては、「特売・セールで購入」(35.5%)と「できるだけ安い商品を買う」(29.5%)の2つの回答が多く、「商品の買い控え」は12.6%にとどまりました。
「食品・飲料」カテゴリーにおいて値上げ前(2020年)と2023年を比較したとき、節約意識の有無によって購入金額の増加率に顕著な差は見られなかったものの、節約意識が高い人は節約意識が低い人よりも「清涼飲料水/ミネラルウォーター」「冷凍調理品」「メニュー専用調味料/料理の素」を除く全ての商品項目で購入金額が高く、年間支出は大きい傾向にあったことが分かりました。
「お菓子・スイーツ」「アルコール飲料」といった嗜好性が高い商品項目に注目してみると、節約意識が高い人の方がいずれの商品項目においても「安価な商品を買う」という節約行動を取っているにもかかわらず、年間購入金額が上昇しています。特に「お菓子・スイーツ」では「節約意識が高い」人の方が年間購入金額が約1600円高くなっていました。
この背景には、家族構成などにより購入頻度や購入量の調整が難しく購入金額が高くなってしまう人ほど節約意識が高くなる、あるいは安価な商品でがまんしている分買う頻度や個数は抑えられずに買い過ぎてしまうといった、生活者のジレンマがあるようです。
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