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国連の気候変動対策キャンペーン「1.5℃の約束」は浸透している?今日のリサーチ

国連広報センターと各種メディアは共同で、気候変動対策キャンペーン「1.5℃の約束」を展開しています。これについて知っている人はどの程度いるのでしょうか。

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 「1.5℃の約束 いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」は2022年6月に国連広報センターが「SDGメディア・コンパクト」に加盟する日本のメディア有志と共同で立ち上げたキャンペーンです。メディアの情報発信を通じて、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑える必要性を訴え、気候変動に歯止めを掛けるための行動変容を促すことを狙いとしています。2023年には156のメディア・団体が参加しています。

 博報堂DYホールディングスは、このキャンペーンが人々の意識と行動にどのような影響を与えたかを検証することを目的に、インパクト調査を実施しました。同社は2022年よりクリエイティブボランティアとしてこのキャンペーンに参画し、キャンペーンタイトルやスローガン、決意表明文やロゴの制作を手がけています。

気候変動への危機感にキャンペーン認知者と非認知者で20ポイントの差

 調査対象は全国15〜79歳男女1442人。キャンペーン2年目となる2023年3月以降に「気温上昇を1.5℃に抑えるべき」という情報や本キャンペーンのロゴに触れたと回答した人は30.2%でした。前年の33.9%から3.7ポイント減少しています。


「気温上昇を1.5℃に抑えるべき」という情報に触れた人は30.2%(出典:博報堂DYホールディングス、以下同)

 キャンペーンの情報に触れた人(認知者)と触れていない人(非認知者)それぞれに気候変動に対してどの程度危機感を持っているか聞いたところ、認知者の56.4%が危機感を「非常に感じる」と回答。「やや感じる」と回答した38.8%と合わせ、95.2%の人が危機感を持っていることが分かりました。これに対し、非認知者で危機感を持っている人は71.8%で、20ポイント以上の差が開きました。


認知者は非認知者より気候危機への意識が高い

 もっとも、危機感が実際に気候変動抑制のための行動につながっているかというと、必ずしもそうではないようです。国連広報センターが推奨する気候変動抑制のために個人でできる10の行動「ActNow」についてどの程度実践しているか聞いたところ、認知者は非認知者に比べて実施率が全項目で10ポイント以上高いものの、前年の結果とほぼ同じか微減で、気候変動を抑制するための行動に広がりは見られませんでした。今後は行動促進につながる情報発信が重要になりそうです。

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