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コカ・コーラが考える生成AIとブランドの未来Marketing Dive

これからのマーケターはAIとどう付き合うべきか。Marketing DiveによるCoca-Colaグローバルカテゴリー担当プレジデントのセルマン・カレアガ氏への独占インタビュー後編。

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Marketing Dive

 生成AIを使った消費者参加型アート企画「Create Real Magic」でマーケティング領域における生成AI活用の先陣を切ったCoca-Cola。AI(人工知能)とHI(ヒューマンインテリジェンス:人間の知能)のバランスを取り、より良い顧客体験を生み出すためのCoca-Colaの考え方について、同社グローバルカテゴリー担当プレジデントであるセルマン・カレアガ氏がMarketing Diveのインタビューで語った。


Create Real Magicのイメージ画像(出典:Coca-Colaのプレスリリース)

137年間守り続けてきた価値観は常に尊重される

(本稿は「コカ・コーラ幹部が語る、生成AIが広告クリエイターの役割に及ぼす影響」の続きです)

――生成AIは、Coca-Colaがパーソナライゼーションに関するニーズを大規模に満たす上で、どのように役立っているでしょうか?

カレアガ氏 以前はコンテンツやクイズ、素晴らしいクリスマス広告を作成し、人々がそれを気に入ってくれることを願っていました。今は、クリスマスカードを例にとると、私たちがどのように人々と関わり、Coca-Colaのような象徴的なブランドで人々がどのように遊べるかという点で、双方向の関係になっています。これは、特にクリスマスシーズンにおけるこれまでのやり方と大きく変わった点です。私たちは今、人々がさまざまな拡張性の高い方法でブランドと交流できるプラットフォームを持っています。

 信頼性、楽観主義、高揚感、人々に小さな幸せの瞬間をもたらすことなど、Coca-Colaが137年間守り続けてきた価値観は、私たちが行う全てのことにおいて常に尊重されています。ツールも、テクノロジーも、体験も、私たちが常に持っているこれらのブランド価値を満たすものでなければなりません。私たちはその価値を尊重し続けながら前進し、一方でこれらのテクノロジーから実験と学びを得ようともしています。

――「Coca-Cola Y3000」(※)の発表に際して、AIをがどのように活用されたのか教えてください。

※編注:AIの力を得て作られた西暦3000年のコーラ。2023年9月に北米で期間限定が販売された。

カレアガ氏 Y3000はCoca-Cola Creationsの第8弾の企画です。Coca-Cola Creationsでは、単に新製品や期間限定商品を棚に並べるのではなく、デジタルの世界とライブの世界に入り込んだ体験を創造することが重要です。

 新しい方法を考えるには、長い時間がかかります。私たちはAIとの連携について、AIがこれほど話題になる以前から議論を重ねてきました。私たちの狙いは、AIとHIを使って、人々が未来というものをどのように考えているかを理解することでした。どんな感情を呼び起こし、どんな色をしていて、どんな香りがするか。どんな味か。私たちはそれらのインサイトを活用し、研究開発チームと協力してY3000を考案しました。

 製品が発売されてから、Sphereという、おそらく現在世界で最も革新的な屋外広告スペースを使用する非常にユニークな機会に恵まれました。私たちはこのSphereを用いて、驚くほどの視覚効果を作り出すだけでなく、QRコードを通じて人々が私たちのY3000プラットフォームと対話できるようにしており、これが多くの関与を生み出しています。

――Coca-Colaは今後、社内外のマーケティング用途にAIをどのように活用していくのでしょうか?

カレアガ氏 私たちはAI活用を、顧客体験とコンテンツ制作の両方の角度から見ています。Y3000やCreate Real Magicもその一例であり、来年には他にも現在開発中のエキサイティングなものをご覧いただけると思います。一方で、デザインやプロセスといった社内の世界においてもAIを使っています。リサーチであれアナリティクスであれ、AIを活用することで、より速く、より適切な方法で、より優れたインサイトを生み出すことができます。私たちはAIをツールとして利用し、ヒューマンインサイトチームと協力して、より関連性のあるアイデアを生み出すことができます。

 誰もがAIプロジェクトを始めるようになった今、私たちは一緒に仕事をしているパートナーを理解し、AIに関連する全てのものをどのようにフィルタリングできるかを理解するチームを持つようになりました。これは以前にはなかったことです。そのおかげで、より多くの相乗効果を生み出すことができています。

 人々が関心を示し、私たちのブランドで良い体験を生み出せると感じている限り、私たちは間違いなくAIを使い続けるでしょう。また、より迅速に何かを作り、より良い洞察を得ることができるのであれば、やはり私たちはAIを使い続けると思います。

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