ドミノ・ピザのブランド責任者に聞いた、斜め上を行くキャンペーンの狙い:Marketing Dive
Domino'sは人気企画「ピザのための舗装」の第2弾として除雪補助金の至急という斬新な企画を実施した。そこには「少数の人が経験し、多くの人が見る」という理念が表れている。
Domino'sは2023年12月4日、冬の最悪の天候にも関わらず持ち帰り客がピザチェーン店にアクセスできるよう、除雪作業に50万ドルの助成金を与える計画を発表した。消費者は郵便番号を提出して補助金を申請することができ、同チェーンはシーズンを通じて2万5000ドルを20都市に支給する。
「Plowing for Pizza(ピザのための除雪)」プログラムは、すでにペンシルベニア州エリー、ミシガン州マーケット、モンタナ州マンハッタンで実施されている。他の受賞都市には、冬用の帽子、マフラー、その他のブランド商品、季節限定商品、さらにドミノのギフトカード200ドル分が贈られる。
このキャンペーンは、Apple「CarPlay」へのインテグレーションやピンポイント配達システム、注文者が緊急事態と判断したときに無料でピザを届けてくれる「Emergency Pizza(緊急ピザ)」など、消費者にとって持ち帰りや配達をできるだけ簡単にすることに焦点を当てた同チェーンの幾つかのマーケティング活動に続くものだ。この最新の取り組みは、2018年に実施されたキャンペーン「Paving for Pizza(ピザのための舗装)」の精神を引き継いでいる。当時、Domino'sは消費者が自宅までのドライブでピザの完全性を守るため、全国の自治体で道路を補修した。
Marketing Diveは、Domino'sの最高ブランド責任者であるケイト・トランブル氏と、指定代理店であるWorkInProgressの共同創設者兼最高クリエイティブ責任者であるマット・タルボット氏に、「Plowing for Pizza」がどのようにして誕生したのか、ブランドの広告において優先順位のバランスを取ることの難しさなどについて話を聞いた。
このインタビューは、明確かつ簡潔にするために編集されている。
50万ドルの「除雪補助金」
――Domino'sとWorkInProgressはどのようにして「Plowing for Pizza」を開発したのでしょうか?
ケイト・トランブル氏(以下、トランブル氏) これは「Paving for Pizza」の第二幕となるものです。私たちはいずれの企画においても、お客さまと温かくておいしいピザの間に何も立ちはだからせないための私たちのこだわり、そして温かいピザのために私たちほど努力する者はいないことを証明しようとしています。このような行動が思いがけず、全く予想だにしないところで行われることは、消費者にとって、とても意味があると思っています。
ピザを買える店ならいくらでもありますが、私たちには顧客のロイヤルティーを獲得する手段があると考えています。私たちは、最高で最もホットなピザ体験を提供し、このような取り組みを通じてそれを紹介するだけでなく、他にも消費者に関係のある重要な場面でブランド構築のための行動を起こしています。
私たちは常々「人はあなたが言うことであなたを好き(like)になるが、あなたがすることであなたを大好き(love)になる」と言っています。だから、この取り組みは消費者の利便性と快適さを中心にしている点で「舗装」と似た洞察に基づいているのです。(持ち帰りの消費者は)家に最高の食事を持ち帰るためなら雪かきでも喜んでするでしょう。 私たちは、彼らがどうにもならないと感じる状況をコントロールできるようにするための別の方法を見つけたかったのです.。
マット・タルボット氏(以下、タルボット氏) 私たちは絶えず、持ち帰りに対する私たちのコミットメントを証明しようとしています。現在の空間で「舗装」の精神を継いでいる「除雪」は、私たちが体験というものをどれだけ真剣に受け止めているかを示す手段となっているのです。
――広告クリエイティブの一部は昨年の冬に撮影されました。これほど長い時間をかけるのは普通のことなのでしょうか?
タルボット氏 クリエイティブ面では、私たちは常に短期的な成功とその後の長期的な計画の両方を考慮しています。車の製造であれ、テクノロジーの構築であれ、道路の発見であれ、私たちは何年もかかるようなアイデアを恐れません。それがユニークであり、長期的な投資ができるからこそ、より有意義で画期的なことができるのだと思います。これはそれほど極端な考え方ではありませんが、対象となる自治体とコミュニケーションを取るためには多くの作業が必要です。その時間を確保しないと、こうしたことを実行することができません。。
トランブル氏 その時々の流行に乗るために短期的なことをしなければならないこともあるし、そうしたいこともあります。しかし、安易なギミックではなく(それなら誰でもできますが)意味のある行動をしようとするとき、それは短期的にはできないことだと思います。私たちはその時々のトレンドや文化に目を向け、素早く動くことを恐れないようにしたいと考えていますが、例えばピンポイントデリバリーのようなテクノロジーは、やはり一夜にして実現するものではありません。時間がかかることは避けられないのです。
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