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ベネッセは生成AIを活用したWebサイト制作・運用改革でコスト4割減をどう実現したのか?ベネッセの生成AI元年【後編】

生成AI、ノーコードツール、画像制作ツール、プロジェクト管理ツールなどを組み合わせたWebサイト運用高度化の取り組みについて。

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 ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)は2023年10月27日に開催したメディアセミナーで、同社の生成AI活用による社内業務効率化の取り組みを紹介した。本稿ではそのうち「次世代型Webサイトプロジェクト」ついて、パートナー会社であるメンバーズ執行役員エグゼクティブ・プロデューサーの白石哲也氏の解説を基に紹介する。

生成AIなどを駆使してWebサイト運用業務を根底から見直す

 メンバーズは長年にわたりベネッセのWebサイト運用支援を手掛けてきた。今回のプロジェクトの責任者を務めた白石氏はメンバーズで生成AIタスクフォースの責任者を務めている。

 白石氏はベネッセの次世代型Webプロジェクトの目的について、「生成AIなどのテクノロジーを活用してより効率的で高度なWebサイト運用を実現すると同時に、業務プロセスそのものを見直し、変えていくことにあった」と話す。

 ベネッセのWebサイト運用においてはこれまで、制作工程にかなり時間がかかること、社員のスキルにばらつきがあり品質を安定させるのが難しいこと、公開までにデザインイメージなどがずれて修正が多くなることなどの課題があった。これらの課題に対して運用フローの見直しや生成AIの活用、ノーコードCMS(コンテンツ管理システム)の活用などの施策を実施することで、本来注力すべき売り上げ向上施策に取り組めるように改善を実行したというのが、取り組みの概要だ。


Webサイト運用における課題と改善策(出典:メンバーズ資料より抜粋)

運用フローの見直し

 まずは運用フローの抜本的な見直しだ。これまで、企画から制作、コンテンツのリリースまでのプロセスでは修正作業も多く、約8週間のリードタイムを要していた。そこで、どこの作業に時間がかかっているかを特定し、作業工程を大幅に短縮できる業務プロセスに見直した。

 改善するに当たって留意したのが、今まで通りに運用ができることと制約が増えないこと、コンテンツ品質を下げないこと、そしてベネッセの文化やリテラシーに合わせることだ。これまでメンバーズがWeb運用で培ってきた経験を基に、最適なソリューションの選択や業務プロセス設計を行った。

生成AIツールの導入によるライティング業務の自動化

 次に、生成AIの活用。生成AIを活用してWebサイトに最適なコピーを容易に開発できるようにすることで、スキルの標準化を図った。具体的には、教材案内のDMに使ったテキストを使って生成AIが約10秒ほどでキャッチコピー案や説明文などを出力できるようにした。単に紙のDMのコンテンツの焼き直しではなく「Webに最適なコピー」にしているところが大きなポイントだ。また、このツールはベネッセ専用に独自開発したもので、未公開情報の漏えいを防ぐためChatGPTのAPIを利用して学習に使われないような工夫も施している。

ノーコードCMSの活用

 次にノーコードCMS「STUDIO」の活用。これまでは手間をかけて「Microsoft Excel」のシートを基に制作を進めていたが、このやり方だと公開までにデザインのイメージなどが異なるという課題があった。そこで、あらかじめWebに最適に設計されたコンポーネントを選択することで簡単にページを構成することができるようにした。エンジニアに依存していた作業を専門知識がない担当者でも容易に編集できるようにし、かつCMS上で指示書や確認・修正履歴なども一元管理ができるようにした。さらに、先述の生成AIで出力したコピーも活用できるようにしている。

PoCの成果

 クリエイティブ最適化はWebサイト制作のみならず、その後の改善活動や広告(バナーやLP)の領域においても必要だ。そこで、生成AIをはじめとしたさまざまな技術を活用し、全体業務を高度化していく予定だ。


Webサイト運用の業務プロセス改善後の全体像

 今回のプロジェクトにおけるPoCの成果は以下の通り。具体的に進研ゼミ中学講座のWebサイト制作においてはコスト4割削減を実現した他、制作期間を8週間から3週間へ短縮することに成功している。運用体制も最適化され、これまで10人を投入していた業務を3人でこなせるようになった。この成果を踏まえ、今後は「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ小学講座」「進研ゼミ高校講座」にも同様の仕組みを導入していく予定だ。


PoCの成果

ベネッセの生成AIとの向き合い方

 ベネッセホールディングスDigital Innovation Partners副本部長の水上宙士氏は、今回のデジタルマーケティングとコンタクトセンター領域における生成AI活用の中で実感していることとして、パートナー企業との連携の重要性を強調する。

 水上氏は「実際に仕事をするのは社員だけではない。パートナー企業も巻き込んで、現時点ではまだ正解がない生成AI活用について、最適解を共に考えていく必要がある」と、まとめた。

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