テレビ広告の新規出稿、「運用型」が増加傾向――博報堂DYメディアパートナーズ調査:今日のリサーチ
限られた予算を有効に使うべく、ローカルエリアで小さく始めて大きく育てる――。テレビ広告の新しい潮流が生まれています。
博報堂DYメディアパートナーズの研究開発コミュニティーであるTV AaaS Lab(テレビアースラボ)は、関東、関西、名古屋いずれかのエリアでテレビ広告に初出稿した企業の過去13年間分、6000社以上の出稿データを独自分析した「新規テレビ出稿広告主分析2023」を公開しました。同調査では、新規テレビ出稿広告主数が2018年度から2021年度にかけて上記3エリア平均で100社以上増加したことが分かりました。コロナ禍で成長を遂げたDX関連のWebサービスやデジタルエンタメ企業がテレビ出稿に踏み切ったことが主な増加の要因と見られます。
運用型テレビ広告の成長ドライバーはスタートアップ企業
新規テレビ出稿広告主全体での初年度出稿GRPはコロナ禍の影響を受けた2020年を除きほぼ横ばい。広告主数は増加傾向であるため、1社当たりの出稿規模としては漸減傾向にあります。少額からテレビ出稿ができるサービスを各広告会社が提供し始めるなど、テレビ出稿へのハードルが下がってきている環境下で、比較的小規模な広告予算の企業がテレビ出稿を行うケースが増加していることを示す結果になりました。
直近5年間の新規テレビ出稿広告主におけるスタートアップ企業比率は、2020年の13.6%をピークに10%前後で推移。年間平均で約50社程度のスタートアップ企業が新規でテレビ広告出稿を開始しています。従来、デジタル広告を中心にマーケティングを行ってきた企業がテレビにも同様のモニタリング・運用環境を求めるケースが増え、運用型テレビ市場の成長ドライバーになっているようです。
スタートアップ企業の新規出稿には、ローカルエリアでの効果検証を経て資金調達を実施し、徐々にエリアを拡大させていくパターンが定着しています。また、広告素材の観点では、30秒以上の長尺素材を活用している企業が全体の約60%にも上りました。新たなニーズを踏まえ、テレビ広告のサービスメニューにも進化が求められると言えそうです。
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