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Instagramリール広告で成功するためのクリエイティブ作成法「House of Instagram Reels Day」レポート

短尺動画で人々の心をつかむ「Instagramリール」はマーケターにとって無視できない顧客接点。では、リールに最適化したクリエイティブをどう作ればいいのか。

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Facebook Japanクリエイティブストラテジストの田内真惟人氏

 Meta Platformsが「Instagram」「Facebook」において現在、最も注力しているコンテンツフォーマットが、短尺動画サービスの「リール」だ。フォローされていないアカウントにもリーチしやすく、オーガニックなコンテンツか広告かと意識せずに楽しむ人も多いリールは、マーケターにとって非常に魅力的だ。では、そのリールで最適なクリエイティブを作るにはどうすればいいのか。2023年5月11日に開催されたイベント「House of Instagram Reels Day」で、Facebook Japanクリエイティブストラテジストの田内真惟人氏が解説した。

3つのステップ

 前回「アディダス、BMW、集英社 先進企業は『リール広告』をどう活用しているのか?」で紹介したように、同イベントではリール広告がブランディングにも獲得にも有用であると説明された。しかし、いざ自社でやろうとなったときに、どういうクリエイティブを作ればいいのか。そもそも何から始めればいいのか。リールに最適なクリエイティブの作成方法について、田内氏は、以下の3つのステップがあると話す。

  1. Walk:リールの配置を追加する
  2. Run:9:16のクリエイティブに最適化する
  3. Sprint:リールファーストの専用クリエイティブを制作する

 リール配置の追加は簡単だ。FacebookおよびInstagramの広告作成・管理ツールである「Meta広告マネージャ」で広告の配信を設定する際に「Advantage+配置」を選択するか、手動配置を選択して「Instagramリール」と「Facebookリール」にチェックを入れればいい。これだけで、既存の静止画や動画広告、ストーリーズに配信している動画広告をそのままリールにも配信できる。クリエイティブを変更する必要はない。

 2つ目が「9:16のクリエイティブに最適化」だ。Facebook Japanの調査によると、縦型のクリエイティブは横型と比較してCPAが平均で48パーセント低くなるという。しかし、従来の動画コンテンツは横型の画面(16:9)で視聴することを前提としたものが多く、そのままではリールの縦型画面(9:16)にフィットしない。そこで、例えば画面の中で話している人物だけをトリミングするなどして、縦型の素材を加工するのだ。縦型どころかそもそも動画の素材を持っていなくても、複数の静止画とテキストを組み合わせることで動画を作ることはできる。リール広告のクリエイティブを作成する場合には、音声を含めることも重要だ。実際、リールの93%は音声ありで視聴されているというから、これを生かさない手はない。もう一つ気をつけたいのが、「セーフゾーン」を意識すること。つまり、UIやテキストなどがかぶる可能性のある部分に、ブランド名やプロダクト名を置かないようにするのだ。セーフゾーンを守らない広告はCTRが平均で28%低くなるという調査結果もあるという。


リールに最適化したクリエイティブにするために(出典:Facebook Japan)

 そして3つ目が「リールファーストの専用クリエイティブの制作」だ。トランジション効果などをリールならではの演出を施すことで、さらに効果が高まり、売り上げにもつながる。また、動画制作の舞台裏を見せるなど、リールらしさを前面に出したクリエイティブも効果的だ。特に若い消費者は洗練されたものよりも共感を重視する傾向があり、「ブランドが出すコンテンツであっても完璧なものでない方が好きだ」と回答している人は84%を占める。また、79%が「作り込まれた広告を見ることに飽きている」と回答している。「あえて完璧ではない、リールらしいクリエイティブが求められている。それは楽しくて分かりやすく、親しみがあるものだ」と田内氏は語る。

リールらしさとは?

 田内氏が「リール言語」と呼ぶところの、リールらしさとは具体的にどのようなものか。ポイントは以下の3つだ。

  • Entertaining(楽しめる)
  • Digestible(分かりやすい)
  • Relatable(親しみがある)

 楽しさはビジュアルの効果やサウンド、動きに合わせた画面の移り変わりなどで演出できる。分かりやすさに関しては、冒頭ですぐプロダクトを映すなどして、何の広告か分かりやすくし、その後テキストを要所に出すなどの工夫ができる。また、誰もが持っている悩みを解決するといった形式で共感を呼んだり、Instagram上で流行している表現をあえてブランドが行うことで親しみを持ってもらうといった手法もある。Metaの調査では、リール言語を取り入れたクリエイティブを使った場合、88%のケースでダイレクト広告の効果が高まっている。また、コンバージョン単価が51%も低下した事例もあるという。

 リール言語を熟知したクリエイターとの連携も強力だ。「ブランドについてブランド自身が語るよりもクリエイターの方に語ってもらった方が信頼できると答えた人が63%いる。また、人の存在を感じられるクリエイティブは広告においてCTRが25%高くなる。クリエイターとの連携もぜひ検討してほしい」と田内氏は語る。

執筆者紹介

鈴木朋子

すずき・ともこ ITライター。iPhoneの日本発売以来、SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを追っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆している。スマホネイティブと呼ばれる十代のIT文化にも詳しい。著書に『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE&Facebook&Twitter基本&活用ワザ』(技術評論社)など。


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