SDGsとマーケティングと愛される企業の在り方を考える:SDGsと「ラバブル」な企業【第1回】(1/2 ページ)
本連載では経営とマーケティングの視点で見た「企業とSGDs」をテーマに、私たちの考えていることをお伝えします。
ラバブルマーケティンググループ(以下、LMG)代表取締役社長の林雅之です。LMGは2020年5月、全社的にSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)推進の取り組みをスタート。北九州市立大学の眞鍋和博教授からご指導をいただきながら、2021年3月、企業活動を通じた社会課題解決へ貢献するため、「SDGsステートメント」と「4つのマテリアリティ(重要課題)」を決定しました。現在は、女性の活躍推進や健康経営、紙削減など、各課題に対するKPIを決め、具体的なアクションプランを立てて取り組んでいます。
眞鍋教授は、ESD(Education for Sustainable Development)の専門家であり、サステナブル北九州の代表としてSDGsに関する講演や授業、企業のSDGsを経営に取り入れるための研修など、教育と企業経営の両面から持続可能な社会の実現のため多岐にわたり活動されています。この連載の後半では、経営にSDGsを取り入れるためにはどうすればよいか、眞鍋教授に対談形式で話を聞きますので、楽しみにしていてください。
第1回となる今回は、LMGが全社を挙げてSDGsに取り組むに至った背景について紹介します。
LMGがSDGs推進に取り組んだ背景
まず、私たちについて少し紹介させてください。
LMGは「Lovable Marketing 」、つまり「愛されるマーケティング」を創業以来の事業コンセプトに掲げるデジタルマーケティンググループです。ホールディングス体制を取り、SNSマーケティング事業や、マーケティングオートメーション(MA)事業を通して、企業のマーケティングを支援しています。
私はもともと、企業のマーケティングは人々から好かれる活動でなければならないと考えていました。恐らく多くの人がそうだと思いますが、私は強制的に見せられる広告やコンテンツが苦手です。もちろん、SNSが普及した今、企業がメディアで発信する情報を多くの人に共感してもらうことは、ビジネスとして大切です。ですが、生活者が求めていない情報を無理やり見せたりモノを買わせようとしたりしたところで、生活者に好きになってもらうことはできません。それどころか、押し付けがましい情報発信をきっかけにその企業を嫌いになってしまうことさえあるでしょう。そのようなマーケティング活動では、結果として購買行動の妨げにしかなりません。
では、どんなマーケティングを目指すべきなのだろうかと考えていたとき、米国でHubSpot共同創始者兼CEOのブライアン・ハリガン氏のスピーチを聞く機会がありました。ITmedia マーケティングの読者には説明不要かもしれませんが、HubSpotはマーケティングとセールス支援ソフトウェアをSaaSとして提供する企業です。
スピーチの中でハリガン氏は、これからのマーケティングとは「嫌われないマーケティング」であると話したのです。生活者を中心に捉えたマーケティングの根源的な在り方に、「自分が考えていたのはこれだ」と、深く共感しました。
このスピーチをきっかけとして、社名にも「ラバブル」を冠して「これがわれわれの存在理由である」ということをLMGで働くメンバー全員と共有しています。
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