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中国向け越境ECに今取り組むべき理由をあらためて考える【新連載】中国マーケティングの「壁」を乗り越える(1/2 ページ)

巨大な中国市場において根強く人気を博す日本商品。新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)拡大の影響で訪日インバウンド消費の復活には時間がかかりそうだが中国向け越境ECは伸びしろが大きい。成功のために押さえておくべきポイントをエキスパートが解説する。

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 近年、日本国内市場の成熟化、アジア諸国の成長に伴い、海外市場を狙う中堅・中小メーカーが増加している。その中でも、市場規模が大きく今後の成長が期待できる中国への展開を考える企業は多い。

 iiMedia Researchの調査資料(外部リンク)によると、2019年における中国国内の小売市場規模は、41兆2000億元(約650兆円)で世界最大の小売市場となった。

中国向け越境ECに立ちはだかるプラットフォームの壁

 中国市場の特徴は、EC化率が日本に比べて非常に高いことである。野村総合研究所「TMIC-NRI中国EC市場白書2019」(外部リンク)によると2019年にはEC化率が25.7%を超えており、小売EC市場は10兆6元(約167兆円)となった。2019年の日本の小売EC市場は約10兆円であるため、中国EC小売市場は約16倍の規模を誇るとてつもなく大きな市場であるということが分かるだろう。

 また、中国消費者の所得増加やライフスタイルの多様化に伴い、中国人の海外商品へのニーズも高まっている。中国国内からECを通じて海外商品を購入する越境EC市場においては、2016年の市場規模は499億6000万元(約8400億円)、2019年は1862億元(約3兆3000億円)と、この3年間で約3.7倍に成長している。

 「安心・安全」のイメージが強い日本商品は海外商品の中でも人気がある。中国最大のECセールである独身の日(W11)の期間中の売り上げを見ると、2016年から5年連続で越境EC分野において日本商品が売り上げ1位を獲得している。根強い人気を博しているのは化粧品や美顔機器、日用品、健康食品だが、2019年頃からはこれまであまり注目されていなかった日記帳など、日本の雑貨も人気になっている。より幅広いカテゴリーにおいて日本商品が注目されていると言っていいだろう。

 このような概況の中で、中国展開を検討・実施する日本企業は増加している。一方で、中国市場に参入したものの苦戦している日本企業もまた増えているのが実情である。

 なぜ苦戦しているのか。その理由はさまざまだが、日本企業が中国で事業を展開しEC販売を行う上で、まず理解しておくべきことが2つある。1つ目は中国EC市場についての理解、2つ目は中国産を含む各国のブランドとの競争についてである。

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