コンテンツサプライチェーンはどう作る? 本社主導でも現場主導でもない新しい仕組みの整え方:withコロナ時代の「デジタルプレゼンス」を語ろう 最終回(1/2 ページ)
「デジタルプレゼンスの再考」をテーマに各界の識者に話を聞くこの連載。最終回となる今回はアバナードの重政泰二氏と、これからのコンテンツ管理体制の在り方について語ります。
過去3回の連載から、withコロナ時代に向けたデジタルプレゼンスの向上と、そのためのコンテンツ管理の在り方が徐々に見えてきたのではないかと考えています。最終回となる今回のゲスト重政泰二氏は前回の星野知彦氏と同じくアバナードに所属する、CRMのエキスパートです。星野氏とは違った視点からこれからのコンテンツ管理体制の整備、それを支えるテクノロジーについて語ってもらいました。
顧客の行動は見えても顧客が受けた印象まで把握しているか
安部 最初に重政さんの経歴と担当業務の内容について教えてください。
重政 2社の事業会社(セブン-イレブン・ジャパン、ジュピター・プログラミング・ネットワーク)でマーチャンダイジングやブランドマネジメントを経験した後、コンサルティング業界に転じました。コンサルタントとしての活動は20年以上になります。現在はマーケティングから販売・営業に至るまで、広い意味でのCRMを専門に、基本構想策定からビジネスプロセス設計、ITの実装に至るまで、デジタルかリアルを問わず、幅広い領域に関わっています。
安部 この連載を通じて私たちが主張してきたのが「デジタルプレゼンス」の確立です。重政さんの支援先で、社内会議システムの導入や社内サーバへのアクセスを許可するためのセキュリティ整備といった、いわば強制された受け身の変革にとどまらない、今後の成長戦略としてのデジタルシフトの動きは出てきていますか。
重政 現在の環境は、良く言えば、本質的なコミュニケーションを最短で行うようになったと感じます。オンライン会議にしても、配慮や前置き、背景説明が減り、よりアジェンダに沿った議論がテキパキとなされているような気がします。逆に言えば、見たもの全てで判断される。そんな懸念があります。討議した内容などの履歴データは残りますが、受け手が実際にどう感じたかまでは分からない。これは、コンテンツマーケティングでも同じで、顧客の行動(読んだ読まない、サイトに滞在した時間など)は見えるようになっていますが、顧客が受けた印象やどう捉えられたかまでは、コンテンツを発信した側が正確に理解することは非常に困難です。
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