デーサイエンティストの仕事を自動化 データビークルが新製品「dataDiver TriA」を発表:データの民主化を一歩先に(1/2 ページ)
統計家の西内啓氏と伝説のIT営業パーソン油野達也氏のデータビークルが、データの民主化を促進する新製品を発表。ニューノーマル時代のデータ分析はどうなるのか。
ベストセラー『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)著者で統計家の西内啓氏とNTTデータ出身でIT営業30年のエキスパートである油野達也氏が2014年11月に共同創業したデータビークル。「データサイエンスをみんなの手に。」をミッションに掲げる同社が2020年6月3日、新製品「dataDiver TriA」の提供開始を発表した。また、単にツールを売るだけでなくプロのデータサイエンティストの力を実感してもらうため、製品を利用する前のサポートに特化した新サービスも開始する。新製品の狙い、そしてデータから価値を得るために必要なこととは何か。発表会における油野氏と西内氏のプレゼンテーションから探る。
診断的分析から予測的分析にリーチを拡大
新製品の名称は「dataDiver TriA(データダイバートライア)」。TriAは「3つのA」のことで、「Accuracy(正確に)、Adaptive(ビジネスを追いかけ)、Accelerate(加速させる)という意味を込めた」と油野氏は説明する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大で人との接触が避けられるようになったことを受け、ビジネスにおいてはデジタルの顧客接点がより重視されるようになった。デジタルデータが増えると、もっと素早くシンプルに意思決定の判断材料を得たいと考えるようになる。
データドリブンな意思決定の必要性はますます高まっている。一方で、多くの企業は準備ができていない。そもそも組織の中にデータ分析の専門スキルを持つ人材を擁する企業は少ない。外部の企業に分析業務を委託することはもちろんできるが、コストがかかるし、刻々と状況が変わる中で結果を得られるまでに半年から1年もかかるようなスピード感は受け入れられない。AI(人工知能)技術への投資も注目されるが、ROIが見えにくい。
こうした背景から、結局のところデータの可視化、もっといえばグラフを眺めるだけで終わってしまっているケースも多い。だが、「可視化でできる簡単なグラフでは予測ができないし、複雑なグラフからは見込み客リストも作れないのが本音ではないか」と油野氏は問いかける。BIツールを使うことで過去に起きたことを明らかにする「記述的分析」はできるようになったかもしれない。しかし、因果関係を明らかにする「診断的分析」や、将来起こり得ることとその確率を明らかにする「予測的分析」までできている企業は多くない。
dataDiver TriAは、これまでのdataDiverが焦点を当てていた診断的分析を拡張し、予測的分析の自動化に焦点を当てた製品となる。これを使うと例えば、10月から1月までの売り上げ実績から2月の売り上げを予測したり、キャンペーンメールの対象者として「19〜20時にサイトにアクセスした」「土曜日に購入した」「独り暮らし」の人たちを選んだりすることができるようになる。dataDiver TriAの提供価格は月額15万円(3ユーザー)。従来製品の「dataDiver」とは別に単独で利用することもできる。
加えて、新たに開始するのが「1stモデリング」だ。dataDiverまたはdataDiver TriA導入前に必要な最初の分析モデルの作成をデータビークルが引き受けるものであり、プロのスキルによるビジネス効果を実感してもらうことを目的としたサービスである。価格は6カ月で500万円。すでに利用を始めた企業もある。データビークルでは今後、新製品とサービスでより強力に企業のデータサイエンス人材育成をサポートする意向だ。
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