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コロナ禍がD2Cを後押し セールスフォースが最短2週間でECサイト立ち上げ可能なライセンスパッケージ提供ECサイトの迅速な立ち上げを支援(1/2 ページ)

セールスフォース・ドットコムが提供開始した「Eコマース特別ライセンスパッケージ」の中身と同社が今これを提供する意義について解説する。

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 コロナ禍に伴う外出自粛で店舗への客足が遠のく中、デジタルの顧客接点が再注目されている。一方で、未経験の市場に急きょ参入する企業が販路としてEコマースを立ち上げる必要も出てきた。卸や販売店を通じたビジネス(B2B2C)を前提としていた企業がまさかのD2C(Direct to Consumer)に挑戦することになったとしても何の不思議もない時代になったといえる。

 Salesforceの日本法人であるセールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)が2020年5月に提供開始した「Eコマース特別ライセンスパッケージ」は、このような急を要するECサイト立ち上げの要請に対応するものだ。同ライセンスパッケージを使うことで企業は、開発着手から最短2週間でECサイト構築が可能になる。

Salesforce Commerce Cloudの4つの特徴

 Eコマース特別ライセンスパッケージはコマースプラットフォーム「Salesforce Commerce Cloud(以下、Commerce Cloud)」のB2C向けサービスである「B2C Commerce」を利用するためのものだ。Commerce Cloudは2016年にSalesforceが買収したDemandwareの製品をルーツに持ち、他のSalesforce製品と連携して心地よい顧客体験をあらゆる顧客接点から提供する「Customer 360」の一環を担う。Commerce Cloudの特徴は大きく分けて4つある。

  1. 柔軟性:PCでもスマートフォンでも、画面フォーマットを最適化する「レスポンシブデザイン」を採用。また、スマートスピーカーからの発注など、デバイスの画面を使わない「ヘッドレスコマース」と呼ばれる処理にも対応する。
  2. インテリジェント:AIエンジン「Salesforce Einstein」により、商品のレコメンデーションや商品の表示順位の最適化などパーソナライズ機能を利用できる。
  3. 信頼:クラウドビジネスの生命線であるセキュリティを重視。また、テレビでの紹介やLINEのおともだちキャンペーンなどをきっかけに、トラフィックスパイク(急激なアクセス増)が発生しても、Salesforceがインフラ運用を担当する分、サイトは安定的に稼働する。
  4. 連携:ECサイトの運営だけでなく、メールのキャンペーンやカスタマーサポートと連動した施策を実施する場合は「Salesforce Marketing Cloud」や「Salesforce Service Cloud」と連携した使い方ができる。

想定される2つのユースケース

 Eコマース特別ライセンスパッケージは主に2つのユースケースを想定している。

 1つは、一般消費者向けのECサイト運営の経験がないけれども迅速にサイトを立ち上げなくてはならないようなケース。分かりやすい例が、今回のコロナ禍で家電メーカーなどが既存のオペレーションをマスクなどの製造・販売に転換する場合だ。既存の製品と全くジャンルの異なる製品を作っても流通・販売チャネルを持っていなければ、ECで売るより他に道はない。もともと自前のECサイトを持っていたとしても、そこで今まで売っていた商品と全く別のものを売るとなると、それはそれで既存顧客のブランドイメージを損なう懸念もあるだろう。

 もう1つは、一般消費者向けとは別の、特定の売り先を優先したいケースだ。マスクや防護服などを医療関係者向けに確実かつ迅速に供給するような場合にも専用のECサイトは不可欠になる。

 一分一秒を争う需要に応えるためのサイトだから当然、構築は急がなければならない。一方で、必要に迫られているモノを売るサイトだけにアクセスの集中が予想される。たくさんの人が集えば攻撃者の標的にされるリスクもあるだろう。単にECサイトを作るだけなら安価なショッピングカートを利用すれば済むかもしれないが、社会的に重要で注目度も高い製品を売るとなると、可用性や安全性は絶対に譲れない条件となってくる。

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