マーケティングと営業の連携、施策投下数を最優先させた「失敗体験の蓄積」という考え方――Chatwork:MAツール活用最前線(1/2 ページ)
日本最大級のビジネスチャット「Chatwork」を提供するChatworkのMAツール活用について聞いた。
(このコンテンツは24-7ブログ「IM7」の掲載記事を一部再編集の上転載したものです)
MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入する企業が増えていますが、導入をちゅうちょしている、またはうまく活用できていない企業も少なくないのではないでしょうか。
このシリーズでは、既にMAツールを活用している企業のご担当者に導入の経緯や運用方法、成果などについてお話をうかがい、これから活用される企業の一助となるような情報をお届けしていきます。
今回は、「働くをもっと楽しく、創造的に」をミッションに、業務の効率化と会社の成長を目的としたメール・電話・会議に代わるビジネスコミュニケーションツール「Chatwork」を提供しているChatworkで、MAツールの活用を推進する事業推進本部ソリューションセールス部ダイレクトセールスチームの大河内唱平氏と事業推進本部マーケティング部プロモーションチームの越ヶ谷 泰行氏に、同社のMAツール活用方法についてお話をお聞きしました。
Chatworkとコミュニケーションツール「Chatwork」について
──まずはじめに、Chatworkについてご紹介をお願いします。
大河内氏 われわれは「働くをもっと楽しく、創造的に」というコーポレートミッションを掲げており、現在はコミュニケーションツール「Chatwork」を22万9000社以上(2019年7月末日時点)にご活用いただいています。
もともと、(旧社名である)EC studio時代にSkypeを使っていましたが、組織利用を目的としたツールではなかったため、使いにくい部分を改善して社内コミュニケーションツールとして自社開発したのが「Chatwork」です。2011年3月に正式に提供を開始し、自分たちが使いやすいツールを作っていくうちに、世の中で「働き方改革」が注目される時流が来たこともあり、ITを活用している大手の企業だけでなく、中小企業のお客さまにも多く導入いただけるようになりました。現在はそのChatworkを中心に、関連サービスを提供しております。
ChatworkにおけるMAツールの活用について
──御社がMAツールを導入されるに至った経緯を教えてください。
越ヶ谷氏 現在、MAツールはMarketoを使っております。MAツールを導入検討していたのは、われわれ2人の入社以前のことなのですが、MAツールの導入に関しては一度チャレンジしたけれどもうまくいかなかったと聞いています。その時は「マーケティングをしっかりやっていこう」という目的を持っていたものの、緻密(ちみつ)に設計しきれないまま導入してしまったことで、十分に使いこなせなかったということがあったようです。現在はあらためて営業組織を作る際に本腰を入れて導入したので、軌道に乗っています。
大河内氏 2人とも2017年入社なのですが、入った時には既にセールスフォースとMarketoの両方が導入されていて環境自体は存在していました。そのときはまだ、案件管理はスプレッドシートが中心でセールスフォースはあまり活用できておらず、Marketoは導入された直後というタイミングでした。ただ営業スタッフの増員に伴いセールスフォース活用の機運が急激に高まったこともあり、私たちが入社して早々にMAツールを活用したマーケティングのプロジェクトも含めて巻き取っていくことになりました。
──当時は「Chatwork」というプロダクトの知名度と優位性で引き合いが多く、あまりMAツールを活用するシーンがなかったのでしょうか。
大河内氏 当時は日本国内には明確に競合といわれる存在があまりなく、日本のマーケットにおいてコミュニケーションツールはChatworkの他にさほど選択肢がない状況だったこともあるので、その時は自分たちの営業活動をしなくてもお客さまの方からの引き合いが多かったのかもしれません。そういった時期を経て、他社様のツールの登場など市場環境に変化が訪れる中、私たちもあらためて営業面の強化が必要になったという文脈でMAツールの導入・活用にもあらためて取り組むようになり、現在につながっています。
Marketoとセールスフォースを連携させて営業を強化
──御社のマーケティングから営業にかけてのプロセスを教えてください。
越ヶ谷氏 プロセス自体はタイミングによっていろいろ変わってきました。Marketoを導入する前はスプレッドシートで管理していました。スプレッドシートのリストに対して営業が順次アタックをかけていく、というシンプルなものです。その後、セールスフォースとMarketoを連携できるようになってからは、リードの属性に合わせて割り振りができるようになり、営業の担当領域を決めて、営業に合わせて自動振り分けができるようになりました。営業の担当領域が決まることで、特定の業種などに専念できるようになりました。
営業の人数が増えてくるに従って効率性も重視されるようになりましたので、Marketoとセールスフォースの活用はこの頃から絶対に外せないものとなってきました。
──お二人は、Chatworkに入られる前からCRMやMAツールを使った経験があったのでしょうか。
越ヶ谷氏 私は前職ではセールスフォースを使っていましたが、Marketoは使ったことがありませんでした。ただ、自分の中で「もしマーケティング管理をするときに、ツールを使うならこうしたい」という絵は描いていましたので、実際に管理するときにはそれをMarketoに適用するだけでした。もちろん最初は使い方に戸惑った部分はありましたが、事前にイメージしていた通りスムーズに活用し始めることができたと思います。
──具体的にどういった絵を描いていたのでしょうか。
越ヶ谷氏 例えばマーケティングを推進していく上で、お客さまに情報を届ける、興味のあるお客さまをリードとしてデータベースに格納する、リードを自動で営業に振り分ける、営業の欲しい情報をリードにひも付けるというプロセスをシームレスに行うことができるようにしたいと思っていました。
前職では問い合わせフォームから獲得したリードをスプレッドシートに登録して……とやっていたのですが、手間と時間がかかりましたし、一番の取っ掛かりであるWebサイトの問い合わせフォーム作成についても、マーケティングの部署だけで完結できず、デザインチームや外部の企業に作成を依頼する必要がありました。これですとスピードが全く出ません。
しかし、Marketoを活用することで、問い合わせフォームの設置やフォームのデザイン、コンテンツ作りを全てわれわれマーケティング部署だけで完結できるようになり、営業部署へのリードの割振りまでをシームレスにつなぐことができるようになりました。まさに自分が描いていた絵を具現化することができた瞬間でした。
──営業の人員が増えているとのことですが、特に強化している部分を教えてください。
大河内氏 インサイドセールスもフィールドセールスも両面とも強化しています。マーケットが温まってきて、問い合わせも非常に多くなってきていますので、そこに対して、両面からアタックをかけられるように組織の整備を急いでいます。現在、B2Bのサービスとしては非常に多くの問い合わせをいただいていますので、それをまずどう自動化して対応していくかをMarketoで行っているところです。
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