Lookerの組み込み型アナリティクスが提供する「データエクスペリエンス」とは何か?:最新版「Looker 7」を発表(1/2 ページ)
Googleによる買収が発表されてから約半年。その間にも着々と成長する気鋭のBIベンダーLookerが新バージョン「Looker 7」を発表した。その特徴を解説する。
2019年12月8日、Looker Data Sciences(以下、Looker)は記者説明会を開催し、最高製品責任者のニック・コールドウェル氏とジャパンカントリーマネージャーの小澤正治氏が、現時点でのビジネス概況と、11月に開催した同社の年次カンファレンス「JOIN 2019」の場で発表した「Looker 7」における機能強化ポイントを解説した。
Lookerの現状
Googleのクラウド部門であるGoogle Cloudが2019年6月に買収を発表したLookerは、独自のアーキテクチャを武器に次世代型BI製品を提供するベンダーだ。コールドウェル氏は、Looker製品の特徴は大きく分けて2つあると説明する。
1つはLooker自体にデータウェアハウス(DWH)やデータベースを持たず、ユーザーがクラウド環境のデータソースにアクセスしてデータ分析を行うアーキテクチャを採用していることだ。Lookerが接続できる環境にはAmazon Web Services(AWS)が提供する「Amazon Redshift」やGoogle Cloudの「BigQuery」があるが、2020年第1四半期中をめどに「Microsoft Azure」への対応計画も進めているという。
もう1つはAPI連携でさまざまなアプリケーションにLookerを埋め込み、アプリケーション側からデータ分析を行う「組み込み型アナリティクス」をエンドユーザーに提供していることである。自分たちでデータを持たない柔軟なアーキテクチャであるがゆえに、ビジネスユーザーが日常的に使うSalesforceのようなアプリケーション上でインサイトを得られる仕組みを提供できる。
2019年12月現在のLookerの社員数は900人超、顧客数は2000社を超えた。コールドウェル氏は「世界中でさまざまな業界、さまざまな部門でLookerの利用が進んでいる。利用継続率は93%になる」と語る。
2018年9月に設立した日本法人も順調に成長している。現在の社員数は20人。顧客数は40社で、パートナーも20社に増加した。2019年7月時点の顧客数が10社だったので、この半年で特に大きな成長を遂げたことになる。
日本における代表的な導入企業にはメルカリやZOZO、海外ファッション通販サイト「BUYMA」を運営するエニグモのような小売業、ガンホー・オンライン・エンターテイメントやバンダイナムコエンターテインメントのようなゲーム会社、プレイドやブレインパッドのようなB2B SaaSベンダーが名を連ねる。
小澤氏は「データ量が激増し、データウェアハウスをオンプレミスからクラウドに変えるタイミングで、データ活用の観点からLookerを採用してもらうケースが増えている」と語る。
日本市場においてLookerが今後の成長を期待する領域が医療ビッグデータの分析だ。2019年12月16日に東証マザーズに上場したJMDC(旧日本医療データセンター)は、日本最大規模のレセプト(医療報酬明細)データベースを保有しており、保険会社や製薬会社を対象に匿名加工データを用いた分析サービスを展開している。同社がLookerを採用した決め手は、顧客ごとにカスタマイズしたダッシュボードを作成できる柔軟性の高さと、米HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)に準拠した堅牢で安全なデータアナリティクス環境を利用できることにあった。
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