freee田中 圭氏が始めるコミュニティーマーケティング、実現までの長い道のりについて聞く:チャレンジするマーケター(1/2 ページ)
B2Bマーケター注目のイベント「Bigbeat LIVE」が2019年8月2日に開催される。そこに登壇する気鋭のマーケターへのインタビューをお届けする。
この連載について
ビッグビートの濱口 豊です。私は広告業界で30年、一貫してB2B企業(とりわけIT企業)のマーケティングを支援しています。外資系クライアントとのお付き合いの中、マーケティングの強力なパワーを間近で感じ、日本企業がこの機能をうまく使いこなせば日本の将来に大きなインパクトを与えることができるはずだと考えるようになりました。
チャレンジするマーケターを応援し続けているビッグビートの根底にあるのは、「マーケティングが変われば経営が変わり、未来がよくなる」という思いです。
この連載では、そんな「チャレンジするマーケター」たちのキャリアや考え方、生の姿を私とビッグビートのスタッフがご紹介し、マーケターの方々の悩みを解決するヒントや、楽しく仕事をするコツを感じて行動を変えるきっかけを見つけていただきます。
今回は、freeeでコミュニティーマーケティングを担当する田中 圭氏(Community Team Community Marketing Manager)の元へ伺った。
freeeのコミュニティー作りをスタートさせたのは、主力のクラウド会計ソフト「freee」を利用するスモールビジネスの経営者ではなく、彼らのパートナーである会計士や税理士だった。その狙いとコミュニティー立ち上げの秘訣(ひけつ)を、ビッグビート マーケティンググループ ディレクターの野北瑞貴が聞いた。
なぜコミュニティーが必要なのか
「これから自分が新しいチャレンジをするときに、アドバイスをしてくれる会計のプロフェッショナルの存在は、非常に重要だ」。freeeでコミュニティーを立ち上げるきっかけとなったのは、「freee」のエンドユーザーである、スモールビジネスの経営者の声だった。
エンドユーザーが頼りにしているパートナーにもfreeeのプロダクトを届けることができれば、さらに“マジ価値”を届けられるのではないか――。
“マジ価値”とは、「本質的(マジ)で価値ある」の略だ。ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをするという、freeeが大切にする価値基準の一つである。
しかし、会計知識のないエンドユーザー向けに開発された「freee」をプロの会計士や税理士が使いやすい仕様に作り上げるには、相応の苦労があった。加えて、一部の会計士や税理士のコミュニティーにはムラ意識のようなものがあり、後発の会計ソフト、しかもクラウドで提供される「freee」が入り込む余地は残されていなかったのだ。
ベンダーがいかに「freee」の優位性を説いたところで、耳を傾けてはもらえない。「それならば、『freee』を利用しているユーザーさんから、『freee』の良さを直接伝えてもらえないだろうか」。そう考えたfreeeの営業担当者は、当時まだ数少なかった既存ユーザーと懇親会を重ねていった。
すると見事に、それまで立ちはだかっていた高い壁が崩れた。そこから徐々に口コミが広まり、今ではfreee認定アドバイザーの会計士・税理士事務所が約5800事務所にまで至ったのである。
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