データの裏側にある人の感情と向き合う――IKEUCHI ORGANIC牟田口 武志氏:チャレンジするマーケター(1/2 ページ)
B2Bマーケター注目のイベント「Bigbeat LIVE」が2019年8月2日に開催される。そこに登壇する気鋭のマーケターへのインタビューをお届けする。
この連載について
ビッグビートの濱口 豊です。私は広告業界で30年、一貫してB2B企業(とりわけIT企業)のマーケティングを支援しています。外資系クライアントとのお付き合いの中、マーケティングの強力なパワーを間近で感じ、日本企業がこの機能をうまく使いこなせば日本の将来に大きなインパクトを与えることができるはずだと考えるようになりました。
チャレンジするマーケターを応援し続けているビッグビートの根底にあるのは、「マーケティングが変われば経営が変わり、未来がよくなる」という思いです。
この連載では、そんな「チャレンジするマーケター」たちのキャリアや考え方、生の姿を私とビッグビートのスタッフがご紹介し、マーケターの方々の悩みを解決するヒントや、楽しく仕事をするコツを感じて行動を変えるきっかけを見つけていただきます。
今回は、今治タオルの製造会社であるIKEUCHI ORGANICで営業部部長を務めるタオルソムリエの牟田口 武志(むたぐち・たけし)氏の元へ伺った。牟田口氏はデータを駆使したマーケティングで、Amazon(アマゾンジャパン)やCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)などのマーケターとして活躍した。そんな牟田口氏がタオルというプロダクト分野でどのようなマーケティングを展開しているのか。牟田口氏の考えるマーケティングの在り方について、ビッグビート マーケティングチーム ディレクター 野北瑞貴が聞いた。
アマゾンジャパンからタオルの世界へ
風力発電100%の自然エネルギーを使った工場で作られる「風で織るタオル」で有名なIKEUCHI ORGANICは、66年の歴史を持つ今治タオルの老舗メーカーだ。ここで牟田口氏は営業部長を務めている。
牟田口氏がIKEUCHI ORGANICに入社したのは2015年7月のことだ。前職はAmazonのWebプロデューサーとして、データを見ながらページの構成を練ったり出版社の書籍プロモーションを企画したりする仕事をしていた。現在は、IKEUCHI ORGANICの営業部長として、また広報、オウンドメディアのWebプロデューサーとして、多様な仕事をこなす毎日だ。
牟田口氏の経歴はユニークだ。Amazonの前はCCCでTSUTAYA onlineのマーケティングを担当していた。さらにTSUTAYAの前、新卒で入社したのは映画制作会社だった。もともと映画好きでエンターテインメント事業に関わりたいと思い、「コンテンツを提供して、お客さんに喜んでもらう」という業界でキャリアを積んできた。
それがなぜ、IKEUCHI ORGANICに転職することになったのか。牟田口氏は「数字を日々追い続ける中、『自分は何のために働き、誰を幸せにしたいのか』を考えるようになりました。そんなときeumo代表の新井和宏氏(当時は鎌倉投信取締役)を通じてIKEUCHI ORGANICを知ったのです。大企業ではないけれど完成されたプロダクトがあり、熱烈なファンもいる。世界に通用する日本のモノづくりに憧れていた部分もありますね」と説明する。
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