エンワールド・ジャパン片山 旭氏が語る、マーケターからカスタマーサクセス スペシャリストへの道：チャレンジするマーケター（2/2 ページ）

B2Bマーケター注目のイベント「Bigbeat LIVE」が2019年8月2日に開催される。そこに登壇する気鋭のマーケターへのインタビューをお届けする。

[野北瑞貴，ビッグビート]

自分や営業が理想とするマーケティングの姿を求めて試行錯誤

　片山氏の悩みは、「どんなマーケティングが会社に必要なのか分からない」というものだ。一般的なマス広告は会社の認知度アップにつながるが、具体的な売り上げ成果にどうつながるかが不明瞭だ。

　「『マスからデジタルマーケティングへ』という流れは素人の私でも分かりやすかったのですが、そうかといって、デジタルマーケティングを推進することにも違和感がありました」と片山氏は説明する。

　もともと、エンワールドがターゲットとしている層（ミッドキャリア＝管理職、エグゼクティブ、スペシャリスト）の母数はそれほど多くない。デジタルマーケティングに投資を続け、大量に転職志望者が来ても、もともとボリュームで勝負をしているわけではないので、対応しきれない可能性もある。「そうではなく、会社にとって必要であり、求人企業も転職志望者も、そして当社にとってもいい影響があるマーケティングは何なのか、探し続けていました」（片山氏）。

　そんなとき、偶然にも2018年8月にビッグビートが開催するB2Bマーケターのイベント「Bigbeat LIVE」があることを知った。

　「人材紹介業はB2BなのかB2Cなのか、その区別もつきにくいですし、当てはめられるかどうかも分からないというのが正直な気持ちでした。でも、このイベントで何かヒントが得られるかもしれないと思い、参加を決めました」（片山氏）

悩めるマーケターにアドバイス「外へ出ればヒントがある」

　片山氏が実際にイベントに参加してみると、マーケティングのノウハウだけでなく、マーケターが行動するためのヒントや考え方の指南など、たくさんのものを得たという。

　その後、イベント参加者を対象にしたオフラインの勉強会に参加するなかで、「カスタマーサクセス」に出合う。そのとき片山氏は「これだ！」と確信した。

　「ほとんどの社員が『転職がゴールではなく、その後が大切』という思いを持っていました。ただ、転職が成立したときに売り上げが立つビジネスなので、なかなかアフターフォローにまで手が回らないという状況があったのです。しかし、エングループ全体で『入社後活躍』を大切にすることを掲げており、この考え方とカスタマーサクセスが合致したのです」と片山氏は言う。

　実は、片山氏がエンワールド・ジャパンに転職を決めた理由が、まさにこの「入社後活躍」という考え方に引かれたからだった。「転職活動をするなか、自分が商品のように扱われている感じがして、人材紹介業にネガティブな印象があったのですが、『入社後活躍に向き合う』という考え方を知り、『人材紹介業の慣習を変える仕事がしたい』と思ったんです」（片山氏）

　片山氏は、「提案が断られたら退社する」という決意の下、社長に直談判することにした。英語の提案書を作り、オンライン英会話で何度も練習して当日プレゼンをしたところ、社長は非常に喜び、「副社長を含めて話し合ってくれ」と言われた。

　実は当時、片山氏の上司としてデジタルマーケティングに詳しい人物がマーケティング部に着任したばかりだった。「そんな中、少数だったマーケティング部から離れて新しくカスタマーサクセスをやりたいと言い出し、ご迷惑を掛けてしまいましたが、副社長にもご協力いただき、2019年4月から新たに『入社後活躍支援チーム』として新たなチームが立ち上がりました」と片山氏は言う。

　こうしてマーケティング部は入社前の転職志望者に対するアプローチやコーポレートブランディングなど、片山氏の入社後活躍支援チームは転職した方のアフターフォローという形ですみ分けができた。目標は、「転職志望者と、入社前だけでなく転職後も接点を持ち続けられるコミュニティーグループを作ること」だ。

　「マーケティングもカスタマーサクセスも、アプローチが違うだけで、転職者に成功してほしいという思いは同じだと思っています。転職志望者の方に、転職活動から入社後まで一貫していい体験を提供し続けられれば、満足度が上がり、会社の評価も高まっていくでしょう。こうして転職志望者や求人中の企業からの相談が増え、売り上げ増につながっていくことを期待しています」と片山氏は言う。

　最後に片山氏は、「マーケティングの進め方や、何をすればいいか分からないとき、外に出ていろいろな方からヒントをもらうと、道筋が見えてくるはずです」と、悩めるマーケターにエールを送った。

対談全文はビッグビートのオウンドメディア「ニシタイ」（外部リンク）で読むことができる

執筆者紹介

野北瑞貴

のぎた　みずき　ビッグビート マーケティンググループ ディレクター。1986年福岡県田川郡生まれ。大学卒業後、2009年4月よりビッグビートにて企画営業職に9年従事。国内外のIT系クライアントのコミュニケーション戦略をサポート。2018年9月よりマーケティンググループ新設にともない、現職。自社のブランディング・インバウンド獲得に向けた施策を企画〜運用。「マーケティングで経営を変える」をテーマにしたイベントを2019年8月2日に開催。当連載に登場する企業の担当者も登壇予定。申し込みはこちら