成約率改善のポイントは「必要な情報を必要な場所に」:今日から始めるWebサイト育成 第3回(1/2 ページ)
Webサイトの集客に成功したとしても、問い合わせ件数や資料請求などのコンバージョンに至らなければ売り上げは発生しません。成約数をいかにアップさせるか、それは多くの企業にとって大きな課題です。
前回は「1ページだけ見て離脱してしまう直帰率」を下げる方法をお伝えしましたが、成約率を上げるためにも、やはり入ってきた人を逃さないことが重要になります。せっかく集客が増えてもゴールに向かわずどこかのページで出て行ってしまっては意味がありません。離脱率を抑えることは成約を増やすことにも大きく関連しているのです。
私たちが多くのWebサイトの改善を手掛けてきた中で見つけた、成約数をアップさせるためのポイントは、サイトに訪問した人が徐々に購買心理を高めていけるような情報を順番に提供し、ゴールとなる「コンバージョンポイント」にたどり着きやすくすることです。
今回は、それを実践して離脱率を下げ、成約数を対策前に比べ15倍にも増やしたWebサイトの改善事例を説明します。
施策成約数を20件から300件へと増加させた車検サービスサイト事例
事例として紹介するのは、東京都足立区で自動車関連サービスを展開するヤナギが運営する「車検の速太郎」のWebサイト(外部リンク)です。このサイトでは同社の車検サービスを紹介し、そのまま申し込みができます。
「車検の速太郎」では、ユーザーが成約に至るまでに必要としている情報を明確に提示するようデザインを定期的に改善することで、離脱を大きく減らしました。その結果、成約数を20件から300件へと飛躍的に伸ばすことができました。
「車検の速太郎」のサイト育成をスタートしたのは、約4年前のことです。Webサイト分析をした結果、最初の課題はやはり全てのページで離脱率が高いことでした。おさらいですが、一般的に離脱や直帰が高い理由は以下の3つです。
- 目的の情報が掲載されていなかった(実際には掲載されていてもすぐには見当たらなかった)
- 次のページに行きたかったが行けない理由があった
- そのページだけで満足した
直帰ではなく離脱をした人というのは2ページ目に進んではいることになりますので、ランディングしたページ以外が悪さをしているという判断がつきます。
では、そのような場合にはどういった改善が必要なのでしょうか。私たちは、サイトの中を歩き回った末に離脱してしまったユーザーのデータを確認し、彼らがなぜ離脱したいと思ったのかを徹底的に分析しました。そして、自分の車を車検に出したい人の購買心理をあらかじめイメージし、仮説を立てて改善しました。具体的に実施したWeb改善施策は以下の通りです。
- トップページに押せないバナーやボタンを置かないようにした
- トップページに戻れるようにグローバルナビを配置した
- ユーザーが知りたいキーワードにテキストリンクを入れた
- 実店舗で行っている取り組みをWebサイトに載せた
- 申し込みがしたいときにできるよう、コンバージョンポイントを細かくページに設置した
- ページ下部に他のコンテンツへの導線を多く入れた
- すぐに電話ができるように、スマートフォンの対策を多く実施した
- 変更できないシステムを最大限に生かしたデザインにした
いずれもユーザーが求めている情報を購買意欲が高まったときに閲覧できるようにする施策です。以下、内容について詳しく説明します。
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