検索
連載

結果の出ないWebサイトをリニューアルする前にまずやるべきこと今日から始めるWebサイト育成 第1回(2/2 ページ)

「Webサイト育成」についての連載です。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

Webサイト育成とリニューアル、それぞれを選ぶべき条件

 前述した通り、早計に大胆な施策を実施する前に、まずは第三者的目線から自分のWebサイトをじっくりと振り返りチェックすることから始めてみましょう。自分のWebサイトのアクセス解析データやKPI(Key Performance Indicator:重要評価指標)を徹底的に分析・検討することで、本当にリニューアルなどの施策が必要なのか、それとも既存のWebサイトを改善すべきなのか、自ずと見えてきます。

 それでは、以下にWebサイト育成またはリニューアルを選択するに当たっての、いくつかの条件について簡単に挙げてみたいと思います。自分のWebサイトが、下記のような条件に幾つか当てはまるようなことがあれば、安易なリニューアルではなくWebサイト育成を選択することで、これまでに築いてきたブランドや商品のイメージ、固定的なファンを維持・確保しながら、着実な効果を狙った施策を実行できる可能性が大いにあります。

  • Webサイト育成を選択した方がよい場合
    • オーガニック検索(自然検索)による流入が50%以上ある
    • 従来のブランディングを通じてブランドとしての信頼や価値が保たれている
    • 数は少なくとも、ブランドや商品に固定的なファンがおり、リピーターがいる
    • 立ち上げたばかりのWebサイトである
    • 集客が5000人以上あるのに効果がよくない
  • リニューアルを選択した方が良い場合
    • リスティングなどをはじめとした広告による流入が大半を占めている
    • ブランドや商品のイメージとWebサイトが大きく相違してしまっている
    • CMSなどシステム的な問題を抱えており、Webの更新や管理に支障をきたしている
    • 5年以上経過しているか、スマホ最適化されていない
    • 画像が多いなどの理由でWebサイトの表示が遅い

 このように、Webサイトをリニューアルする前にポイントを理解しておくと、無駄なリニューアルを避けられます。 もちろん、ここで挙げた条件はあくまで一例であり、条件は状況により変化しますので注意しておきましょう。

 続いて、実際にWebサイト育成に取り組む場合に、Webサイトの問題や弱点をどのように見つけ出せばいいのか、そしてその弱点をどうすれば克服できるのか、具体的な改善方法も考えていかなければなりません。

Webサイトの弱点を発見、注目すべき解析データとは

 既存サイトの弱点を探り当て少しずつ改善するために必須となるのがアクセス解析ツールです。アクセス解析は、Webサイトを運用してさまざまな施策を実行していく中で、曖昧になりがちな効果と結果、そして弱点などについて、明確に可視化(数値化)できる、Webサイト運営者必携のツールといえます。

 ここでは、「Google アナリティクス」を用いた方法を紹介します。非常に高性能なアクセス解析機能を持ちながら無料で利用できるGoogle アナリティクスは、多くのWebサイトで幅広く採用されています。データの取得方法は簡単です。Google アカウントを取得して、トラッキングコードを設置するだけで、Webサイトに関する多彩なデータを取得することが可能です。

 Google アナリティクスを活用すれば、専門家でなくても多彩な情報を簡単に把握することができます。もちろん高度な活用方法によってさまざまな分析ができますが、ここでは特にどのような数字に注目すればよいかという点に絞って解説します。

 運営しているWebサイトの特徴(物販、資料請求、会員登録など)ごとに、重点的に確認すべきポイントは多少異なりますが、まずは基本となる以下のような数字をチェックしていきましょう。

  • Webサイト育成において注目すべき12のKPIと見るべきポイント
    • PV数(ページビュー数):全体のページが何ページくらい見られているか
    • 1人当たりのPV数:1人が何ページくらい平均で見ているか
    • セッション数:何人が訪問しているか(累計)
    • UU数(ユニークユーザー数):何人が訪問しているか(個別)
    • 平均セッション時間:どれだけの時間閲覧したか
    • CV数(コンバージョン数):Webサイトの目的(商品の購入や申し込み)が達成された件数
    • CVR(コンバージョン率):訪問者の人数における、成果が出た割合
    • 客単価:平均でいくらぐらいの成果が出ているか、一人当たりいくら使っているか
    • eコマース:Webサイト経由でいくら、どんな商品で売り上げを獲得できたか?
    • 直帰率が高い:Webサイトに興味を持ってもらえているか
    • トップページ直帰率:ファーストインプレッションでギャップがないか
    • 新規セッション率:新たなユーザーを取り込めているか

 このように、解析データ上でチェックすべき数字を挙げればきりがないのですが、大切なのは単純に数字を見ることでなく、それらを比較検討した上で何を考えるかです。アクセス解析ツールで取得した情報を基に、Webサイトの問題点や弱点、改善すべきページの具体的な原因を追究し、最適かつ具体的な改善施策を立案しなければいけません。

 次回は、これらの数字を活用してWebサイト育成に見事に成功した各種の事例を、それぞれのWebサイトが抱えていた課題と具体的に実施した施策を含めて紹介します。お楽しみに。

執筆者紹介

谷脇 しのぶ

たにわき・しのぶ へノブファクトリー(https://henobufactory.co.jp/)代表取締役。1974年生まれ。転職情報サイト「@type」を運営するキャリアデザインセンターにてWebマーケティングに従事した後、デザイン事務所でディレクション経験を積み、2004年にヘノブファクトリーを創業。2006年に法人化。広告代理店とタッグを組んでWeb制作をプランニングから行いながら数多くのWebサイトを構築する一方で、自社メディアで年商1億円を達成。2011年にはこの運営のノウハウを生かしてWebサイトの効果アップを支援する「ウェブお手伝いさん事業」をスタートさせる。現在は十数人で30社以上のWebサイト育成支援を行うなど、Webサイト育成のスペシャリスト集団として活動の幅を広げる。「失敗しないウェブ立ち上げ勉強会」「ランディングページで収益化セミナー」など、現場レベルのノウハウを教えるセミナーが人気。プライベートでは1児の母。自身の経験を生かしてママのIT化を支援できるよう、支援事業を拡大するとともに、さまざまなセミナーやイベントで講師として登壇。働く女性にWebの活用方法を伝え、女性が働きやすい環境づくりに挑戦し続けている。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る