「Sitecore Content Hub」が登場、最良の顧客体験を提供するために「DAM」が必要な理由とは:デジタル資産を一元管理(1/2 ページ)
Sitecoreが2018年にStylelabsを買収して生まれた新製品「Sitecore Content Hub」とはどういうものか。
Sitecore日本法人のサイトコアは2019年6月4日に記者説明会を実施した。同説明会では、サイトコア代表取締役営業本部長の酒井秀樹氏とプリセールスマネージャーの原水真一氏が登壇、2019年5月に提供開始した新製品「Sitecore Content Hub」について、その特徴および活用方法を、デモンストレーションを交えて解説した。
DAMとMRM
2018年11月9日に開催された「Sitecore Digital Marketing Summit 2018」で発表があったように(関連記事)、Sitecoreは2018年にDAM(デジタル資産管理)やMRM(マーケティングリソース管理)などのソフトウェアを提供するStylelabsを買収している。これにより誕生したのがSitecore Content Hubだ。
DAMとは、コンテンツの基となる写真やテキスト、動画や音声などのデジタル資産を一元管理するためのツールだ。Sitecore Content Hubを使うことで、ユーザー企業はアップロードしたコンテンツに自動でメタデータを追加したり、そのメタデータを自由自在に検索したりすることができるようになる。複雑化するメタデータ管理は大規模サイト運営の大きな悩みだが、その負担を軽減してくれるのだ。DAMを使うことで、あらゆるファイルを管理し、それを選択して編集することができる。コンテンツのライツ(権利)管理も簡便化できる。ここで管理したコンテンツは社内の各種システムとAPI連携可能だ。
MRMは、マーケティングコンテンツを企画し、制作し、公開するまでのプロセスを効率化するためのツールだ。キャンペーンを立ち上げた際には、計画をプロジェクトに落とし込んで管理し、さまざまなクリエイティブツールを連携させてコンテンツを作り、社内外のスタッフとコラボレーションを進める必要がある。Sitecore Content Hubは、それらの全てのプロセスをワークフローとダッシュボードで可視化する。
なぜStylelabsを買収したのか
SitecoreがStylelabsを買収した理由の1つとしては、世界的にDAMのニーズが高まっていることが挙げられる。調査会社のeMarketerが2019年1月に英国と米国のマーケティング担当者を対象に「どのマーケティングテクノロジーに投資するか」を尋ねたところ、46.1%の人が「DAM」と回答している。これは「モバイルアプリ」「プログレッシブWebアプリ(PWA)」に次いで高く「AI(人工知能)」の上を行く。また、世界中の企業がどのデジタルエクスペリエンステクノロジーへの投資を計画しているかというデータでは、次の121〜239日の期間で31%の企業がDAMと答えている。
買収の理由のもう1つは、Sitecoreのビジョンやミッション、製品戦略と関わる。「誰もが、特別なおもてなしを受けている、優遇されていると感じられる世界を提供する」というビジョンを掲げる同社は、ユーザー企業がそれぞれの顧客とより良い関係性を構築・維持できるように、優れたパーソナライズ機能を有したWeb CMSを中心とした製品を提供している。しかし、CMSの役割とは既に作られたコンテンツを管理することであって、コンテンツを制作する作業をどう管理するかというのは、また別の課題だ。
多くの企業では日々さまざまなコンテンツを制作している。その中では似通ったコンテンツを何度も作ってしまったり、著作権管理がきちんとされておらず、使える素材を確認するだけで時間がかかってしまったりすることがよくある。効率性もさることながらブランディング視点からもコンテンツ資産管理は無視できない問題だ。
加えて日本においては、制作を広告代理店に丸投げし、そもそも自社コンテンツの管理ができていないという企業も少なくない。そこでDAMが必要になるというわけだ。
酒井氏は「Sitecore Content Hubで全てのコンテンツを一元管理することで、重複投資を減らし、著作権が管理された安全なコンテンツを全世界で使用できる。それによりブランディングの強化とビジネスの効率化が実現する。さらに、MRMを通じて社外のエージェンシーとコラボレーションを図り、効率の良いコンテンツ作成ができる」と語る。
Sitecore Experience Cloudの3本柱
Sitecore Content Hubは独立した製品として提供されるが、従来のSitecore Experience Platformと連携させることで、さらなる価値を生む。個々の顧客に最適なコンテンツをオムニチャネルで発信するのがSitecore Experience Platformの強みだが、そもそもコンテンツの供給が安定していなければパーソナライズなどできるはずもない。Sitecore Content Hubにより企業内のデジタル資産のサプライチェーンを活性化することは、顧客により良い顧客体験を提供する上で欠かせない。
「Sitecore Experience Cloudはこれまでの2つの柱であるCMSとコマースに、セントラルで管理するデジタル資産が加わって3本柱となった。これを利用できるようにすることで、効果の高いエクスペリエンスをエンドツーエンドで提供できる」(酒井氏)
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