LINEの「リデザイン」が本格化、2019年の広告事業はこうなる:「LINE Biz-Solutions Day 2019」レポート(1/2 ページ)
2018年8月に運用型広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」を大幅刷新し2018年12月には公式アカウントのサービス体系を改めたLINE。「リデザイン」の進捗と2019年の展望が明かされた。
「Closing the distance(距離を縮める)」をミッションに掲げるLINEはメッセージングアプリ「LINE」とそのファミリーアプリを武器に、スマートフォン上の巨大なマーケティングプラットフォームを築き上げた。
日本国内におけるその存在感は絶対的だ。月間アクティブユーザー(MAU)数は2018年12月時点で7900万を数える。そのうち毎日LINEを利用するユーザーの割合(DAU/MAU)は実に85%というから、広告を出して人の目に触れる可能性が最も高い媒体の1つといっていいだろう。
だが、同社がその地位に甘んじることない。さらなる成長を追い求めるLINEは、コアとなるサービスであっても変化が必要とあれば、ちゅうちょなくそれを壊し、世界観だけでなくバックエンドのシステムから作り直す。
2018年8月には運用型広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」を自社開発ベースの配信プラットフォームへとリニューアルした。また、12月にはLINE公式アカウントの「リデザイン」を実施し、5つあった企業向けアカウントサービスを一本化した。
同社が進めるリデザインはLINEを活用する企業のマーケティングにどのような影響をもたらすのか。2019年2月20日に開催された「LINE Biz-Solutions Day 2019」のポイントをまとめた。
オープニングキーノートには2018年FIFAワールドカップロシア大会で日本代表監督を務めた西野 朗氏がゲスト登壇。短い期間でチームの再構築(リデザイン)を成し遂げた裏側についてLINE執行役員の池端由基氏(写真左)が話を聞いた
ブランドごと、機能ごとに公式アカウントを持てる
LINE執行役員広告ビジネス事業担当の池端由基氏はキーノートの冒頭「誕生して間もなかったころとはLINEに求められる役割も必要とされる価値も大きく変わった。市場のニーズに合ったLINEの価値を新たに作る」と、リデザインに取り組む決意を語った。
旧LINE公式アカウントは月額250万円という高額な利用料金がボトルネックとなり、これまで一部の大企業などしか利用することが難しかった。また、大企業であっても複数アカウントを持つことは難しく、どの企業にも使い勝手が良いサービスとは言い難い面があった。
しかし、今回のリデザインで料金体系は一新された。月額料金0円から始められるプランも登場するなど、導入のハードルははるかに低くなった。
月額料金の縛りがなくなることで、新たな利用シーンが増えることが想定されている。ブランドごとにアカウントを設置することが可能になり、問い合わせ専用アカウントなどニーズに応じたアカウントを並行運用することも可能になる。
メッセージ送信は従量課金が基本になるので、季節ごとの需要に合わせた運用もしやすくなる。新生活のシーズンにコミュニケーション予算を集中的に投下するといった、これまでになかった使い方が可能になる。
新しい広告商品
2018年は広告配信プラットフォームであるLINE Ads Platformにも大きな変化があった。同サービスはもともとLINEの圧倒的なリーチを誇っていたが、それに加えて膨大なデータを活用した高精度なターゲティングを実現できるようになった。
さらに、新たな掲載面や広告商品も続々と登場している。目玉の1つとなるのが、2018年11月に発表した「LINE Dynamic Ads」だ。LINEのタイムライン上に、広告主サイトの閲覧履歴に応じてアイテム単位の広告(ダイナミックリターゲティング広告)を配信することができるメニューで、より興味関心に合った訴求をすることで、コンバージョンの確度を高めることが期待できる。
LINE Dynamic Adsを試験導入した企業では、早速高い効果が出ており、全体平均では導入前後の比較でクリック率が730%、コンバージョン率も450%となっているという。先行事例ではアパレルECや人材会社において高いパフォーマンスを発揮している。
ダイナミック広告は商品の種類が多くユーザーごとにニーズの異なるような商材で特に有効になる。肝心なのはマッチングの精度だ。そこにLINEの持つデータの強みがうまく生かされているのだ。
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