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「追っても意味のない指標」を見極めるPDCA自体の中間評価──「@nifty不動産」の場合【連載】小川 卓の高速PDCA“超”入門 第3回(1/3 ページ)

現場で実際に施策を回す企業のWeb担当者はどのようなKPIを設定してPDCAを運用しているのか。今回は「@nifty不動産」にお話を聞きました。

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 この連載ではこれまでの2回で、PDCAを回すことになる施策の設計についての考え方とプロセス、そしてPDCAを評価するためのKPIの重要性について紹介しました。今回は、実際にKPIを設定してPDCAを運用する上でのポイントを、企業のWeb担当者との対談形式でご紹介します。リアルなエピソードから、読者の皆さまが自社の施策に取り組む際の具体的なイメージをつかんでいただけると思います。

 今回お話を聞いたのは、不動産の物件検索サービス「@nifty不動産」を運営するニフティの君島哲也氏です。


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ビジネスのゴールとユーザーのゴール


ニフティの君島哲也氏

小川 まずは現在の君島さんの役割とチーム体制について教えていただけますか。

君島 現在は「@nifty不動産」賃貸サービスのプロデューサーをしています。ニフティに入社してしばらくは、温泉、求人、電力自由化などのテーマサイトや新規事業などのクリエイティブディレクションを担当していました。不動産事業へは1年前から参加しました。他の事業と掛け持ちだったところから専任になり、2017年度からプロデューサーとしてチームを統括しています。私を含む2人のプロデューサーと5人のマーケター、協力会社の人員を含むエンジニア15人、営業2人、社内外のデザイナー各1人という20人超のチームを率いるリーダーとしての役割と、売り上げに対するコミットが私のミッションです。

小川 現在担当されている賃貸領域のゴール設定は、どのように進めたのでしょうか。

君島 まずは売り上げという事業ゴールに対してプロデューサーが方針と戦略を策定し、そのビジョンを具体的な年間計画に落とし込むという作業をしました。

小川 大枠は君島さんが決めるんですね。しかし売り上げというのはあくまでも事業上のゴールであって、担当しているWebサイトのゴールとひも付かない場合もあるのではないでしょうか。

君島 @nifty不動産のようなマーケットプレース事業の場合、ビジネス目線とユーザー目線のゴールはイコールだと考えています。パートナー(企業)側に課金するというビジネスモデルですので、サイトを訪れたユーザーが希望に沿った良い物件を見つけられるということがビジネス上の成功にも直結するわけです。例えば不動産サイトの満足度は「問い合わせ」というアクションに表れやすいのですが、問い合わせしたい物件と出合えることは、ユーザーにとってもうれしいことですよね。パートナーとユーザー両者の満足を実現するために、物件の探しやすさや付加価値の提供の仕方、納得感の生み出し方を考えるのが、私たちのチャレンジできるところだと考えています。

 ただ、ユーザーにとっての満足のポイントは本当に千差万別で、小さい子どもがいれば「価格は高くても安全」「近くに公園がある」というのがプラスに働くかもしれませんし、逆に一般的に好まれそうな「大通りが近い」という条件が「車が多くて危険」という理由でマイナスに働く可能性もあります。多様なユーザーに対してどのようにアプローチし、アクションにつなげられるかというのが大きなゴールです。

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