リードを売り上げに変えるためのポイントとは? リードナーチャリングからセールスパイプラインまで:【連載】スモールスタートで成功するマーケティングオートメーション 第3回(2/3 ページ)
マーケティングオートメーションを活用することで、リードの管理と育成ができるようになります。今回はその方法、そして案件創出後のセールスパイプラインについて解説します。
リード情報の質を判断するリードクオリフィケーション
コンテンツマーケティングの実施や展示会への参加、セミナーやイベントの開催、営業活動などを通して、データベースにリード情報が蓄積されていきます。蓄積されたリード情報の質を検証して分類することがリードクオリフィケーションです。
リードクオリフィケーションでは、第1回で説明した顧客データの「ライフサイクルステージ」に基づいてリードを分類していきます。
顧客データの「ライフサイクルステージ」
- 見込み客:リード(Lead)
- マーケティング対象となる見込み客:MQL(Marketing Qualified Lead)
- 営業対象となる見込み客:SQL(Sales Qualified Lead)
- 具体的な案件情報がある見込み客:オポチュニティ(Opportunity)
- 購入が決まった顧客:カスタマー(Customer)
なお、リードクオリフィケーションのコツは、リードの分類を複雑にし過ぎないことです。分類をより詳細にしていくこともできますが、上記に示したリード、MQL、SQL、オポチュニティ、カスタマーのように分かりやすくシンプルな構成で分類としては十分です。ここでも、「スモールスタート」を意識して小さく始めることがおすすめです。
では、どのようにリードクオリフィケーションを実施すればよいのでしょうか。リードクオリフィケーションでは、「企業情報」「担当者情報」「行動履歴」の3つの情報を使って、リードの分類と評価を行います。分類時に活用する、具体的な項目は以下を参考にしてください。
- 企業情報:企業名、業種、地域、企業規模(売り上げ/従業員数)など
- 担当者情報:役職、職務、年齢、性別、価値観など
- 行動履歴:Webサイトの閲覧履歴、見積もり依頼、お問い合わせ、資料ダウンロード(カタログ/ホワイトペーパー)、イベント/セミナー参加など
これらの情報を基に、リードの分類・評価を進めます。初めに、リードの企業情報と担当者情報を組み合わせ、ペルソナと合致しているかを判断します。合致していれば、優良な顧客となる可能性のあるMQLとなります。
次に、MQLと判断されたリードの担当者情報と行動履歴を確認し、商談に結び付く可能性があるかどうかを判断します。例えば、コンテンツの閲覧状況、問い合わせや見積もり依頼の有無、セミナーや展示会の参加の有無などの顧客側のアクション履歴や回数を調べ、商談に結び付く可能性が高いリードをSQLとします。
SQLのうち、具体的な案件情報があるリードは、オポチュニティとなります。案件情報は、見積もり依頼や問い合わせといった見込み客からのアクションで手に入れる場合と、メールや電話などのプッシュ型のアクションを企業が実施して聞き出す場合があります。
オポチュニティに対しては、営業担当者が訪問や打ち合わせなどを行います。最終的に購入が決まればカスタマーになります。一方、営業が訪問をした結果、一定期間での購入予定がないと分かればMQLに、購買条件などがマッチしないことが分かればリードに戻ることになります。
このように、リード、MQL、SQL、オポチュニティ、カスタマーを分類、管理して、誰がどの層にいるのかを明確にしていくことがリードクオリフィケーションです。
リードクオリフィケーションのためのデータベース設計
ここで、リードクオリフィケーションにおいて注意すべき点をお話しておきましょう。それは、データベースの設計方法です。一般的な問い合わせフォームや見積もりフォームには、氏名、会社名、eメールアドレス、問い合わせ内容などの入力枠があるかと思います。見込み客が入力するこれらの情報を、データベース上で1つの情報としてまとめて管理していませんか。
これらの情報をデータベース上で1つにまとめてしまうと、リードクオリフィケーションを行う際の弊害になります。例えば、ある商品について過去に問い合わせを行った人が異なる製品に対して再度問い合わせをした場合、2件の問い合わせは関連性のない異なるデータとしてデータベースに追加されてしまいます。また、同じ部署の別の人が同じ商品に対して問い合わせをしても別のデータとして追加されてしまいます。こうなると、商品に対する見込み客の興味の度合いや、商談に結び付く可能性を正しく読み取ることができなくなってしまいます。こうしたことを防ぐために、担当者、案件、企業の項目を分けて管理することが重要です。3つに分割して管理することで、リードクオリフィケーションやセールスへの引き渡しがしやすくなるのです。
次の段階に進んでもらうためのリードナーチャリング
次のステップであるリードナーチャリングでは、リードクオリフィケーションで分類したリード、MQL、SQLに対してMAツールを使ってコミュニケーションを行い、オポチュニティへと育てていきます。
例えば、その人がペルソナに合致しているかどうか判断するのに、リードだけでは情報が不十分な場合があります。その場合は、顧客に対して追加情報を取得するための行動を促す必要があります。具体的には、eBookのダウンロードリンクをお知らせしたり、セミナーやイベントの情報を案内したりします。
SQLの購買への関心度を知るためには、商品購入に関するキャンペーン、あるいは事例などを案内し、その反応を見るといった施策が有効です。オポチュニティに対しては、従来行われているような割引やデモなど、購買につなげるための活動が有効になります。
なお、リードナーチャリングの施策として「ステップメール」がよく知られています。ステップメールは、資料をダウンロードした人に、翌週、メールを送り、さらにその翌週メールを送る、というように複数回に分けてコミュニケーションする方法です。
しかし、ステップメールは効果があるとは言えません。ご自分のことを振り返ってみると納得いただけると思いますが、多くの人は同じ企業から何度も似たようなメールが繰り返し送られてくると、だんだん開封しなくなる傾向があります。ステップメールを繰り返すほど、読まれないままごみ箱に行く、嫌われるという可能性があるのです。実際、当社24-7で数十社以上のクライアントでステップメールを実施しましたが、送信するたびに開封率が下がり、期待された効果がでないことを確認しています。
リードナーチャリングでは、繰り返し伝えるよりも、顧客を動かすシナリオを考えるべきなのです。次で詳しく説明しましょう。
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