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もはや導入に躊躇する企業はない? クラウド型コンタクトセンターソリューションクラウド化が進むコンタクトセンターソリューション市場

近年は比較的大規模なコンタクトセンターでもクラウドを利用する例が出始め、ベンダー間の競争は激化してきている。競争はオムニチャンネル、モバイルアクセス、CRM連携、音声分析などの分野に広がっているという。

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矢野経済研究所 ICTユニット

クラウド化が進むコンタクトセンターソリューション市場

 2013〜2017年度の国内のクラウド型コンタクトセンターソリューションの市場規模は、年平均成長率(CAGR)13.2%で推移し、2017年度には345億円に達すると予測する。クラウド型のコンタクトセンターは、安価なシステムを求める顧客の需要を捉え、大手企業でも利用するところが出てきており、市場規模はまだ小規模だが高いペースでの成長が続いている。

 従来は、クラウドに興味はあったが実際に使うのはためらうユーザーが多かったが、ここにきて、広くユーザーに受け入れるようになり、実際に使われるようになってきた。引き合い案件では、「クラウドとオンプレミスの両方を比較したい」や、「クラウドが絶対条件」というのが一般的になってきた。クラウドを希望する顧客の主な理由は、運用コストの低減、バージョンアップの負荷低減、資産を持ちたくない、などである。一方、クラウド化においても、初期投資は必要であり、5年間トータルコストでは、必ずしも安くはならないことが顧客企業にも浸透し、クラウドに対する変な過熱感は沈静化しており、選択肢の一つとして冷静に検討されるようになってきた。

 従来は専業ベンダーが比較的小規模なコンタクトセンター向けにクラウドサービスを提供していたが、近年は比較的大規模なコンタクトセンターでもクラウドを利用する例が出始め、心理的にも導入しやすい雰囲気が出てきている。こうしたことから、各ソリューションベンダーはコンタクトセンター向けのクラウドサービスの提供を開始し、ベンダー間の競争は激化してきている。

各クラウド型コンタクトセンターソリューションベンダーの特徴

 日本最大のコンタクトセンターに関するイベントである「コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2015」においては、各社とも「オペレータの使い勝手の良さ」を前面に出し、画面遷移やマルチディスプレイ、DBアクセスの簡便さ、画面の見やすさ、などを訴えていた。特に、昨今はコンタクトセンター業界における競争が、オムニチャンネル、モバイルアクセス、CRM連携、音声分析、WFM(Workforce Management)、WebRTC(Web Real-Time Communication)、顧客体験、などの分野に移ってきており、こうした分野における自社サービスの使い勝手の良さを各社とも強調している。

 コンタクトセンターサービスにおける競争が徐々にアプリケーション分野に移行している中で、各サービス提供事業者は、他社アプリや他社サービスとの連携が重要な差別化ポイントと位置付けている。特に、近年クラウドベースのCRMやSFAサービスで存在感を高めているSalesforce.comとの連携には各社とも注力している。

 以下、クラウド型コンタクトセンターの主要なサービス提供事業者について概観する(掲載は商号50音順)。

 NTTコミュニケーションズは、通信事業者としてクラウド基盤や音声ネットワーク、アクセス回線なども含むエンドユーザーからコンタクトセンターまでをワンストップで提供している。また、クラウド基盤やネットワークまでを含めた強固なセキュリティと24時間365日の監視体制をとっており、同社が提供する閉域網VPN(Arcstar Universal One)、さらに、同社のサービスである「フリーダイヤル」「ナビダイヤル」なども含めたトータルでのセンター構築が可能であるのも特徴である。

 コムデザインは、システムインテグレーターとしての実績に基づく技術力を訴求している。コンタクトセンターについても自社開発を行っており、このためクラウド型CTIサービスの提供に当たり「仕入や設備償却の費用を抑えて低価格でのサービス提供が可能」としている。また同社は、運用部門と開発部門の連携を密にし、運用上で提起された顧客の細かな要望に対応している点や、柔軟なアーキテクチャを採用し、電話のみならず他サービスとの連携ができる点も訴求している。

 コラボスは、国内におけるクラウド型コールセンターシステムのパイオニアとして、580社以上の導入実績を持ち、あらゆる業種での導入実績を有しているため、新規立ち上げやリプレースなど、さまざまな顧客の要望に対してニーズに沿った提案をすることができる。同社は「顧客は必ずしもコストだけではなく、安定的な稼働や導入後のサポートも重視しており、クラウド型コールセンターシステムのフロントランナーであり実績が豊富なコラボスにとっては、この点も有利に働いている」としている。

 楽天コミュニケーションズは、楽天グループの通信事業会社として、近年、積極的にサービスを展開しており、クラウド型コンタクトセンターでは4年で700社以上の導入実績がある。同社は月額ライセンス料金の安さを訴えており、コールセンターの規模が大きくなるほど割安になるとしている。また、通信事業者として、固定通信(マイライン)、IP電話、モバイル(楽天モバイル)、インターネット接続サービス(GOL)などを提供しており、ワンストップでサービスを提供可能な体制を敷いている。

 リンクは、最短5営業日でコールセンターを構築でき、急なキャンペーンや在宅型などの案件にも素早く対応できる点を訴求している。同社では「必要な時に、必要な機能を、必要な規模で利用可能。用意されたオプションは1カ月単位で利用でき、柔軟なコールセンター運営が可能」としている。また、座席数に関わらない同一料金にチャネル課金をプラスした料金体系が特徴で、将来的な規模拡張にも対応できる料金体系を提供している。さらに、他社アプリや他社サービスとの連携を重視しており、販売は提携しているCRMベンダー経由が多いのも特徴である。

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