データは毎日見ているのに「データドリブンマーケティング」にならないのはなぜ?:【連載】データと調査で“愛されWeb”を作る 第1回(1/2 ページ)
Webサイト改善はデータ分析からというものの、データを見ても結局何をしたらいいのか分からない……。そんな悩みをよく聞きます。本連載ではWebサイト運用に役立つデータと調査の活用法を学びます。
突然ですが皆さん、Webサイトを運営していて“データ”を見ていますか?
「もちろんアクセス解析ぐらいしてますよ」
「アクセス数だの回遊率だの、いろいろなデータを見て運営してますよ」
ほとんどのサイト運営担当者はそうおっしゃいます。今どきはアクセス解析ツールもたくさんありますし、さまざまな調査もされていることでしょう。それらが膨大に蓄積され、「サイト上で起こっていることは手に取るように分かる」と豪語する方もいるかもしれません。
でも一方で、Webサイト改善のコンサルティング事業を営む私たちの下には日々、次のような悲鳴にも似た声が寄せられてきます。
「調査はやり尽くした感があるのだけれど、データを見ても結局、次に何をしたらいいか分からないんだよ」
一体、どうしたらよいのでしょう。
そのサイトはビジネスに貢献していますか?
「もう何も手を加える必要がない」と自信を持って言えるほど完璧なWebサイト運営ができているのでもない限り(もちろんそんなケースはまれです)、サイト運営担当者の方々は、アクセス数を伸ばしたい、コンバージョンを上げたい、あれもこれもしたい、つまりはもっとビジネスにガッツリと貢献するサイトへと改善していきたいと思っているはずです。しかし、そのために次に何をしたらよいのかが、今あるデータを見ても全然分からないというのです。これは困りました。もちろん、そうした声は昔からあるものですが、2016年現在、また増えてきているというのが私たちの実感です。
データの使い方が分からないだけならまだしも、「せっかく分析や調査を行っているのだから、何か意味を見いだしたい」などという思惑が働いてくると、もう最悪です。例えば、アクセス解析においてはよく、PV数やユニークビジター数、あるいは滞在時間といった指標が使われますが、それらの指標がサイトの運営目的と連動していないのであれば、計ってもムダでしかありません。
ところが、多くの企業では、目的との関連性がはっきりしない指標をただ増大させて、「アクセス増えたね」「会員数も増えたね」「でも全然売れないね」などという会話がひっそりと(だけど意外と頻繁に)交わされていたりするのです。
ビジネスへの貢献ができていないWebサイトなど、何の意味があるのでしょう。コストの観点だけでいえば、そんなサイトはすぐ閉じてしまった方が企業にとってメリットは大きいかもしれません。
Webサイトって何なんでしょうか
今や、どんな企業もWebサイトを運営しています。ECやメディアなどWebサイトの運営そのものを事業にしている企業でなくても、自社の事業内容を紹介したり、お客さまのメリットを訴えたり、商品やサービスの利用を促したりと、さまざまな目的でWebサイトが使われていると思います。それはB2C企業でもB2B企業でも同じです。
しかし、言うまでもないことですが、どのような企業であってもWebサイトを運営する究極の目的は「ビジネスに貢献するための手段とする」ことです。
WebサイトはテレビCMや雑誌広告などと同様に、お客さまと企業をつなぐ接点の1つとして作られているものです。中でもWebサイトには、旧来の手段と違って「お客さまが情報に接したときの状況を正確なデータとして取得できる」という大きな特徴があります。テレビの視聴率や雑誌の発行部数からは、「見た」とか「買った」という以上のことを知ることはできませんが、Webサイトであれば、お客さまがどこから来てどのページをどのくらい見てどこへ移動したといった実際の行動をきめ細かく見ることができます。せっかくきめ細かく見ることができるのであれば、それを最大限に活用しなければもったいないでしょう。Webサイトならではのビジネス貢献ストーリーがあるという状態が作れてこそ、Webサイトを運営する意味があるというものです。
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