第1回 エージェンシーのビッグデータ“ドリブン”マーケティング(後編):【連載】「変わる」広告会社(2/2 ページ)
ビッグデータは「推測型マーケティング」から「実証型マーケティング」への進化を促す。ビッグデータを活用することで、今までのアプローチ手法では見えてこなかった新しい発見や価値創造が期待できる、ということだ。試行錯誤の段階ではあるが、「実証型マーケティング」が次世代マーケティングの大きな柱になるのではないだろうか。
【仮説1】 「(2)ダイバーシティ東京プラザ」と「(3)東京スカイツリー(東京ソラマチ)」は、オープン時の話題性の高さもあるだろうが、広範囲なエリアから来訪していることからも、観光目的での来訪傾向が強い。
「(1)東京ミッドタウン」「(4)伊勢丹新宿店」「(5)有楽町マリオン(阪急メンズ東京、ルミネ有楽町)」のように、買い物目的での来訪傾向が強い3施設とは対照的。
【仮説2】 「(1)東京ミッドタウン」と「(5)有楽町マリオン(阪急メンズ東京、ルミネ有楽町)」は、商圏の分布状況で見ると競合関係にある。両施設共に、商圏を拡大できるポテンシャルがあると思われる。
【仮説3】 「(3)東京スカイツリー(東京ソラマチ)」は、「(2)ダイバーシティ東京プラザ」と比べても、商圏が東エリアに集中しており、西エリア(神奈川県)からの集客が相対的に少ない。このエリアにはまだまだ潜在的な集客ポテンシャルがあるのではないか。
【仮説4】 「(4)伊勢丹新宿店」は、2013年3月に東武東上線、西武池袋線〜副都心線〜東急東横線の相互乗り入れが開始されると、埼玉県や神奈川県方面からの集客により商圏を拡大するチャンス。また、その場合は、新たに「(1)東京ミッドタウン」「(5)有楽町マリオン(阪急メンズ東京、ルミネ有楽町)」と競合になる可能性もある。
次に、店舗の利用状況を自社内あるいは競合と比較することで、自社店舗の置かれた状況を明らかにする分析例をご紹介する。
図9は、自社および競合店舗の1回あたり平均滞在時間を平日/休日別に比較したものである。対象店舗は、ほぼ同じ規模かつ集客数であると仮定する。自社店舗Aは、平日/休日共に最も滞在時間が長いので、仮に優良店舗のベンチマークとしてみよう。
自社店舗Bは、滞在時間で競合店舗C、Dを下回っている。また、自社店舗Aと同じ滞在時間の傾向(休日が平日の滞在時間を上回る)にもかかわらず、滞在時間が相対的に短い。つまり、自社店舗Aを参考に集客施策を行うことで、もっと滞在時間を引き上げられるのではないか? という仮説を導き出すことができる。
図10は、自社店舗からの流出顧客がどこへ行ったのか? を分析したものである。前月自社店舗に来店したが、今月は来店していない顧客の流出先を見てみると、競合店舗Dへの流出割合が高いことが分かる。従って、競合店舗Dの商圏分析や顧客行動分析をさらに進める必要がある。
5-2 「モデル化/予測する」
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