インバウンドマーケティングは市場創造の1つの方法:マーケティングエンジン代表取締役 社長 尾花淳さんに聞きました
2012年8月に設立されたばかりの新会社「マーケティングエンジン」。日本初のインバウンドマーケティングエージェンシーを標榜する同社の代表取締役社長 尾花淳氏に新会社設立の背景やインバウンドマーケティングの可能性を直接聞いてみました。
インバウンドマーケティング:時代状況に合致したマーケティングコンセプト
谷古宇 2012年8月に「マーケティングエンジン」が設立されたわけですが、新会社の事業戦略を教えてもらえますか。
尾花 「マーケティングエンジン」の事業戦略をお伝えするには、インバウンドマーケティングについてのわたしたちの考えと会社設立までの経緯をお話しするのが近道だと思います。
谷古宇 尾花さんは「ITmedia マーケティング」で「基礎から理解するインバウンドマーケティング」という連載記事を執筆していて、インバウンドマーケティングのコンセプトを分かりやすくまとめています。
尾花 インバウンドマーケティングというコンセプトが普及し始めた背景には、普通に生活をしている私たち消費者の情報行動の変化があります。私たちはネット検索をすれば最低限必要な情報は手に入ると感覚的に認識しています。何か気になることがあるとまずは検索をしてみる、これがごく日常的な行為となりました。また、メディアを通じて送られてくる情報を受け取るだけでなく、検索エンジンの普及で自ら情報を調べるようにもなりましたし、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアによって、友人/知人というフィルターを介して情報を受け取るようにもなってきています。消費者が検索やソーシャルメディアを通じて取得する情報の特徴の1つは、不特定多数のうちの「誰か」に向けられたものではなく、「自分の興味/関心にあったもの」ということです。(他人にとってはもしかすると不要かもしれないけれど)自分にとっては必要で質の高い情報を消費者は得られる状況にあるのです。また、その裏側には、人々がソーシャルメディアを通じて情報を共有することも日常的に行われているということがあります。
一方、情報を発信する立場の企業にとっては、自分たちの顧客になり得る人々に最適な情報を届けられるチャンスでもあるわけです。その時に何が必要なのかというと、まずは、その企業の専門性を生かした質の高いコンテンツです。質が高いとは、言い換えるならば、「役に立つ」ということです。
検索エンジンの精度は高まり続けるでしょう。また、新たなキュレーションプラットフォームが出てきて、ソーシャルメディア同様にユーザー間でのコンテンツ編集やフィルタリングの仕組みが出てくるかもしれません。いずれにしても、人々は自分に最適な情報の取得を望み、企業には人々が望む情報の提供が求められます。
谷古宇 専門性が高くて、質もいい情報を発信し続けることで、その企業は自社と相性のいい消費者を自社サイトに呼ぶことができるようになる。旧来のメディア広告やリスティング広告が担っていたいわゆる集客の役割の一部を、オーガニック検索やソーシャルメディアによるクチコミが今以上に担うことになるというわけですか。インバウンドマーケティングは、そんな時代状況に合致したマーケティングコンセプトであると。
尾花 はい。ただ、それはインバウンドマーケティングというマーケティングコンセプトのほんの一部に過ぎず、その後には、自社サイトに来ていただいた顧客候補たる人々を“育成”するリード管理などのマーケティングアクションが続きます。そういう意味で、インバウンドマーケティングというのは、市場創造の新しい手法の1つであるとも言えるのです。そんなインバウンドマーケティングをキーコンセプトとしたマーケティング戦略の立案、戦略を実装するためのITツールの選定/導入、コンテンツ制作などの具体的な運営支援がマーケティングエンジンの事業の柱となります。
会社設立の背景:コムニコとスケダチから始まる
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