ダイレクト・マーケティング最前線――最適なオファーを絞り込んだ配信先へ:CEO インタビュー
ダイレクト・マーケティングにおいて重要なのは、データの管理技術と分析技術、キャンペーンの配信管理技術である――。SaaS型eCRMソリューションベンダー「Probance」のCEO Emmanuel Duhesme氏にダイレクト・マーケティングの最新動向を聞いた。
ヨーロッパ市場では電子メールに代わるダイレクト・マーケティング・チャネルの模索が始まっている。候補はSMS、ソーシャルメディア。電子メールを活用したキャンペーンの開封率、クリック率の低下傾向がその要因である。
とはいえ、チャネルを電子メールに限定してもまだやることがある。キャンペーンの配信ターゲットを絞り込むこと、ターゲティングされた顧客に最適なオファー(クリエイティブ)を作成すること、すべてのデータ(プロファイル、トランザクション、Webトラッキング、開封率……)を1つのソリューションに統合すること。
SaaS型eCRMソリューションベンダー「Probance」のCEO Emmanuel Duhesme氏によると、フランスのダイレクト・マーケティング・キャンペーン管理ツール市場は対前年で40%の伸びを示す成長市場だという。前述のように、主力チャネルはいまだ電子メールだが、今後どんなチャネルに移行しようとも、配信ターゲティングの技術が重要視されることに変わりはないとDuhesme氏は言う。
SMS、ソーシャルメディアなどのチャネルに加えて有望なのが、意外にも印刷物だ。電子メールと比較して高コストなチャネルだが、顧客のレスポンス率は高い。ヨーロッパにおいて、eコマース企業のブランド価値向上に対する意識は年々高まっており、顧客と良好な関係を構築するには、高い表現力を有する印刷媒体は非常に適している。従来の(印刷媒体による)DMとの違いは、配信先が絞り込まれていること、顧客セグメントに最適化されたメッセージが生成されることだ。
つまり、重要なのはデータの管理技術と分析技術および、キャンペーンの配信管理技術だ。Probanceのツールを導入したCellfish Mediaは、顧客の興味・行動に基づき、最も反応が高いと思われる顧客を算出し、顧客に過度の勧誘を行わないようキャンペーン・プレッシャーを管理した結果、「ダイレクト・マーケティングによる売り上げが2年間で3倍になった」(Duhesme氏)。
谷古宇浩司
アイティメディア ITインダストリー事業部 事業開発部 チーフアーキテクト。コンピュータ・ニュース社(BCN) 報道部 記者を経て、2002年にアットマーク・アイティ入社。@IT自分戦略研究所編集長、アイティメディア エンタープライズ編集長を歴任後、現職。
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