消費者はパーソナライズを求めている?――Adobeが示すマーケティングの“3本柱”:Adobe Digital Marketing Summit 2012(2/2 ページ)
Adobeは、デジタルマーケティング分野の年次カンファレンス「Adobe Digital Marketing Summit 2012」を開催。オープニングセッションでは「パーソナライズ」に主眼を置いた同社のマーケティング製品戦略と、3つの新製品が紹介された。
パーソナライズした施策を支援する3つの新製品
1つ目の新製品は、Webアクセス解析およびユーザーセグメント作成ツール「Adobe Discover 3」だ。レンチャー氏に代わって説明を行った製品担当者によれば、新たに搭載した「横断型訪問分析機能」によって、企業が持つ複数のWebサイト/Webサービスなどをまたぐユーザーの行動履歴も解析できるようにしたという。
これにより、例えばユーザーが検索結果から企業の製品ページにたどり着き、レビューを読んだ後にサイトを離れ、メールで再び情報を得てサイトに戻り、購入に至るといった一連の購買プロセスを、企業はグラフィカルな表示で把握できるようになる。同製品は4月中に提供される予定だ。
続いて発表したのは、Webエクスペリエンスマネジメントツール「Adobe CQ 5.5」。企業は同製品を使えば、PCやモバイル端末、スマートデバイス向けアプリなどに最適化されたHTML5ベースのWebコンテンツを、ドラッグ&ドロップ操作で簡単に作成できるようになるという。
Web解析ツール「SiteCatalyst」などをはじめとする「Adobe Digital Marketing Suite」製品との連携機能も搭載した。例えば洋服の販売を手がけるECサイトの場合、解析ツールで取得した匿名のユーザーデータ(位置情報など)に基づき、寒冷地に住む人がページにアクセスした際は暖かそうな服のコンテンツを表示したり、温暖な地域に住む人向けには涼しげな服のコンテンツを表示したりといったことが可能になるという。
デジタル資産管理機能も搭載している。企業は同機能によって、Webサイトで使用する画像などのコンテンツを組織の内外で共有し、検索やコメントの追加、編集などが行える。このほか、Photoshopなどで作成したデータを即座にメンバー間で共有できるサービス「Adobe Creative Cloud」(2012年下半期に提供予定)にも対応するとしている。
最後に発表したのは、総合的なソーシャルメディアマーケティング製品「Adobe Social」だ。
同製品は、Adobeが2011年3月に発表したソーシャルメディア解析ツール「Social Analytics」に、今年初めに買収した米Efficient Frontierのソーシャルメディア管理技術を統合したもの。企業はAdobe Socialの利用で「ソーシャルメディアに関する全てのアクションを1つのプラットフォームで行えるようになる」(レンチャー氏)という。
具体的には、複数のソーシャルメディアに向けて配信するコンテンツの集中管理、マーケティング施策を行うターゲットの特定およびコンテンツ配信の自動化、企業のソーシャルページ内でのユーザーの会話の解析、影響力の強いユーザーの特定、Facebookアプリの作成・展開などを行えるという。また、ユーザーの行動履歴を分析する機能も搭載し、ソーシャルメディア上のやり取りが商品の購入に及ぼす効果も測定できるとしている。
スペシャルゲストとして登壇した米Facebookバイスプレジデント グローバルセールス&オペレーションズのグレーディ・バーネット氏は、企業がFacebookをビジネスで有効活用する方法を、スターバックスコーヒーの事例を挙げて説明する。
バーネット氏によれば、同社は2000万人以上のファンに対して無料キャンペーンの告知などを行うことで、ユーザー同士のシェアを利用して多くの人々にキャンペーン情報を提供し、実際の来店につなげることに成功しているという。「オンラインとオフラインが(Facebookを通じて)鏡のように同じものを映している」と同氏は表現する。
「Facebookとしては、企業アカウントによる発信が、個人ユーザーの友達や家族のものと同じくらい受け入れられるような質の高いものにしていきたいと考えている」とバーネット氏。一方、AdobeはAdobe Socialの提供を通じ、企業がFacebookなどのソーシャルメディア上で個人ユーザー1人1人に最適化したコンテンツを配信できるよう支援していく考えだ。
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