企業の情報活用を支援する4つのソリューション IBM
世の中に溢れる膨大なデータを効率的に収集、活用し、企業経営にどう生かしていくかが重要になっている。それをサポートする取り組みにIBMは注力する。
市場や顧客の声に耳を傾けてそこにあるニーズを汲み取り、製品やサービスの開発に生かしていくことが、今やあらゆる企業に求められているのは言うまでもない。
米IBMでは顧客の経営課題などを正しく理解するために、グローバル規模での定期的な企業リサーチを行っている。例えば、経営者向けの「IBM Global CEO Study」や、CIO(最高情報責任者)およびIT部門トップに向けた「IBM Global CIO Study」などが該当する。これらに関連した新たな取り組みとして、世界64カ国、1700人のCMO(最高マーケティング責任者)を対象とした調査「IBM Global CMO Study」を2011年内に発表する予定だ。
同調査によると、企業の経営やマネジメントは急激に変化しており、これまでのように経験や勘に頼るのではなく、事実に基づいたデータを駆使する必要性が高まっているという。「いまや企業においては、データ収集やデータ活用が不可欠であり、それに向けたデータの解析力が求められているのだ」と米IBM ソフトウェアソリューショングループ シニアバイスプレジデントのマイク・ローディン氏は語る。
そこに向けた戦略的なアプローチとして、IBMでは「Business Analytics and Optimization(BAO)」「Smarter Commerce」「Social Business」「Smarter City」という4つのソリューションを打ち立て、顧客のデータ活用を支援していく。
BAOは、同社が数年前からグローバルで積極的に投資している分野で、これによって企業内外に散在する膨大な情報を分析し、将来を予測してビジネス最適化のための意思決定を行えるという。同分野の市場価値は1640億ドルに上るとIBMはみている。
Smarter Commerceは、2011年3月からIBMが提唱しているビジョン。マーケティングや販売、サービス、購買、サプライチェーンといった企業の商取引における一連のプロセスを効率化するもので、700億ドルの潜在的な市場があるという。
Social Businessは、ソーシャルネットワークの概念を企業のビジネスプロセスに組み込み、コラボレーションや顧客対応を強化するソリューションで、企業向け統合ソーシャルソフトウェア「IBM Connections」をはじめとするLotusブランドのコラボレーション製品を核に、分析やコンテンツ管理、ビジネスプロセス管理などのソフトウェアと連携する。
Smarter Cityは、「行政サービス」「交通」「公共安全」「医療」「教育」「エネルギーとユーティリティー」「水資源管理」という7つの都市機能を基に、スマートな都市づくりを支援する取り組み。「Intelligent Operations Center」と呼ばれるソリューションによって、都市のさまざまなデータを統合し、分析、可視化することで、問題を未然に予測し、危機対応や資源管理をより効率的に行うことができるようになる。
こうしたソリューション分野の成長を加速させるべく、IBMが押し進めているのが買収戦略である。同社は以前から2015年までに200億ドルをM&Aに費やす意向を示しており、実際に、リスク管理ソフトウェアの米OpenPages、マーケティングソフトウェアの米Unica、Web解析ソフトウェアの米Coremetrics、不動産管理ソフトウェアの米TRIRIGA、情報分析ソフトウェアの英i2などを相次いで買収している。
外部に存在するキーテクノロジーの買収に加えて、自社での研究開発においても引き続き年間60億ドル以上の投資を続けていくことで、情報活用やデータ解析に関するソリューションを強化していくと、ローディン氏は力を込めた。
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