メルマガで陥りやすい失敗:Webマーケティングを営業力に(2/2 ページ)
法人営業でメールマガジンを採用している企業は多いが、同じような失敗に陥るケースが後を絶たない。よくある失敗例から営業力を高めるためのヒントをつかみ取ろう。
ヒント3:一括対応で新規営業のチャンスを逃していないか?
3つ目のヒントは、メルマガの配信によって、新規顧客獲得のチャンスを逃していないかということだ。
人的な新規営業はルート営業の6倍のコストが掛かるといわれている。また、展示会への出展や新聞・専門誌への広告出稿の効果もかつてに比べて落ちている。さまざまな企業は、新規営業を効率化できるWebマーケティングに期待を寄せている。
しかし、「新規営業の難しさ」はWebマーケティングでにおいても変わらない。新規営業こそ、顧客のニーズをいち早くキャッチし、的確に対応することが求められる。個別性が強く、難易度が高い仕事だ。その対応をメルマガに任せていないだろうか。
よくある例は、名刺を獲得した後にメルマガを配信するケースだ。人的営業ならば、名刺や商談の内容を精査し、重点を置く/置かないクライアントを分けるはずだ。それなのにアフターフォローをメルマガに任せ、一括で対応する例は多い。
またWebサイトからの問い合わせや資料のダウンロードがあった場合も、結局はメルマガ頼りの営業にしている企業もある。担当者は、メルマガの配信で営業先をフォローした気になってしまい、有力案件を芽生えさせることができない。
顧客との接点ができあがる中では、私信メールやメルマガを使うタイミングを慎重に検討しなければならない。
私信メールとメルマガのタイミングを検討する
新規リストの中身を週1回洗い出し、5件の重点顧客を決めている企業がある。「Webからの問い合わせはこの人に任せる」と決めずに、重点顧客には事業部内でも優秀な営業担当を回している。
新規案件になり得る重要顧客には必ず1カ月間の個別アプローチを続け、今後も重点的にコンタクトを取るのか判断する。その後、個別アプローチの成果が出なかった顧客は、メルマガ配信対象に移行する。
個別アプローチの段階では、「予算策定タイミング」や「新商品のリリース時期」などをヒアリングしておく。再度、アプローチできる可能性がある顧客には、メルマガで場をつなぎ、予算や新商品のタイミングに合わせて再度私信メールを復活する。
私信メールを止める際に、復活させるタイミングも計画しておくことで、メールマガジンの中に顧客を埋もれさせない工夫をしている。
メールマーケティングで成果を出すために
ここで紹介した3つのケースは、メールマーケティングを実施する上で重要な示唆を与えている。もしあなたの企業のメールマーケティングで成果が出ていないならば、以下をもう一度考え直してみてほしい。
- 私信メールを軽視してメールマガジン頼みになっていないだろうか?
- 受け手にとって価値のあるコンテンツを配信しているだろうか?
- 一括対応で新規営業のチャンスを逃していないだろうか?
これらの質問には、メールマーケティングの成果や営業力を高めるヒントがつまっている。
個人視点では、私信メールの活用が重要だ。メルマガに頼りすぎずに、狙った企業が求める情報のみを編集し、最適なタイミングで私信メールを送ってみよう。これを徹底できている営業担当者は少ない。
組織視点では、営業プロセス全体の中でメルマガと私信メールを使い分けることが大切だ。どの段階でメルマガを活用し、状況やプロセスに応じて私信メールに切り替えたり、メルマガの内容を補足したりするといったバランスを考えておきたい。
次回はこれらを掘り下げ、メルマガと私信メールのバランスの取り方を説明する。
著者プロフィール:渥美英紀(あつみ ひでのり)
株式会社ウィット代表取締役。B2BのWebマーケティングに精通し、自身の実績や優良な法人営業サイトのノウハウをまとめた「ウェブ営業力」(翔泳社)を出版。Webマーケティング戦略の立案、Webサイト発注のためのRFP作成支援、web集客のプランニングなど上流工程のサービスをはじめ、Webサイト/コンテンツの制作、アクセスログ解析、システム開発などクライアントの課題解決に必要なパーツを各種提供している。
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