クエやサンマの梅酒も試す!? 発想を広げたことが成長のカギ――中野BC・中野幸治さん(後編):嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(2/6 ページ)
梅酒ビジネスにおいて、この5年間で売り上げを25倍にした中野BC。躍進の立役者である同社3代目の中野幸治専務にその経緯を尋ねると、マーケティング部門の改革や先入観を排除した商品開発をしたことがカギとなったのだという。
打率3割の商品開発
こうして、女性目線を重視した梅酒の開発が推進されることとなった。では、彼女たちに企画をさせるに当たって、どのようなこだわりに基づき、あるいはどのようなルールや基準に基づいて行わせていたのだろうか?
「『何であれ、やってみないと分からない』というのが私の持論です。言い換えるならば、『先入観は新商品をカットする』という考え方です。だから、『こんなことをやったって、うまくはいかないだろう……』などと言って、アイデアを否定するようなことは一切ありません。
その証拠に、これまでに試作した梅酒の数は100種類を超えます。和歌山県産の柑橘類は例外なくすべて試しましたし、柑橘類に限らず、和歌山名産ということで、魚のクエやサンマの一夜干しも試したんですよ(笑)」
100種類以上を試作して、市場に出ているのが30種類。ということは打率3割ということになるが、これを高いと見るか、低いと見るか? その質問に対し、中野さんは「イチローだって打率3割ですからね」と言ってニッコリほほえんだ。誇るべき打率ということだろう。
「今後も、この打率を向上させようとは思いません。そういうことにこだわること自体が、発想の幅を狭め、新しい可能性を閉ざすことにつながるのですから」
全部を紹介することはできないが、中野BCの梅酒の主要なラインアップは次のようなものである。「ゆず梅酒」「イチゴ梅酒」「シークァーサー梅酒」「赤い梅酒」「緑茶梅酒」「ブルーベリー梅酒」「じゃばら梅酒」「山椒のうめ酒」「高麗人参梅酒」「一根六菜」(=ホウレンソウ・レタス・クレソン・パセリ・セロリ・キャベツ・人参)……。
それぞれに思いのこもった個性的な商品であるが、中でも「ブルーベリー梅酒」は、その名も「ミルティーユ」(フランス語でブルーベリーの意味)。2009年から女性社員が企画して、今年夏に発売された商品で、梅酒特有の日本風の雰囲気を排し、ボトルやラベルはワインを想起させ、フランス語によるネーミングはリキュールをイメージさせるなど、若い女性を強く意識した商品となっている。
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