商品の質こそがキラーファクターになる:キラーウェブを創る(5) オイシックス(4/5 ページ)
ECサイトで稼ぎ出すキラーウェブを生み出すためには、商品の質に徹底的にこだわり抜く姿勢が求められる。ユーザーがどうすれば満足するかという視点が不可欠で、「自社満足」にとどまっていてはいけない。
2割の顧客が8割の売り上げをもたらす
Oisixの場合、売り上げを最大化するための近道は、定期宅配サービスであるおいしっくすくらぶに加入してもらうことだ。そのため、初回購入時にはお礼状とともに、おいしっくすくらぶの案内も同封し、希望者には家族全員で見てもらえるように、カタログも配布している。
ショッピングの楽しさを追求することも重要だ。ほかの食材との違いを理解してもらうために、食材の背景にあるストーリーを伝え、農家からのメッセージを送り、舌だけでなく脳でもおいしさを感じてもらえる工夫を施す。
Oisix購入者は平均14品を同時に注文する。商品の探しやすさは不可欠だ。冷凍のほうれん草を検索する場合、通常は「野菜」や「冷凍食品」などのカテゴリーから商品を探す。そのため、このような商品は両方のジャンルから検索されるように、サイト内検索を工夫している。また、毎週買うものはあらかじめ買い物カゴに入れておける機能もある。
こうした施策を講じたことで、おいしっくすくらぶは売り上げの80%を生み出すようになった。同社は、定期的にユーザー調査を実施して、このような細やかな部分への配慮を徹底している。
商品のクオリティこそがキラーファクター
1570品の中から平均14商品を選ぶ。そこで重要になるのは、それがどんな商品なのかをイメージしてもらうことだ。そのため、同社は商品のネーミングにもこだわっている。
同社のプライベートブランドである「くびれ緑茶」や「くびれ生活」。それぞれ緑茶やフルーツジュースに、一日に必要な食物繊維を配合したものだが、ネーミングだけで商品から得られるメリットがイメージできる。「臭み少なく甘みがある 極太にんにくの芽」「澄んだ清流のような味 みず(ウワバミソウ)」など、味覚や触感を直接表現したネーミングも多い。通販は最初にユーザーが見たコピーの一行で興味を持ってもらえるかが売れ行きを大きく左右する。これらをよく考えたネーミングを行っている。
商品の説明にも神経を使う。多くのEC(電子商取引)サイトは、こうした部分を軽視しがちだ。だがインターネットは写真と文字ですべてを表現しなければならない。同社は単に味のチェックをするだけではなく、「この味をどう表現する?」という議論に最も時間を割いているという。Oisixで紹介されている商品に、すべて商品説明とお客様の声がしっかり反映されているのはそのためだ。
ネーミングの工夫は、会社名やサイト名にも反映されている。インターネットの中では、覚えやすく、かつコンテンツが推測されやすいURLを選ぶことが重要だ。OisixやOkasixは、ともに音で聞いて覚えてもらえる。基本はユーザーにとって覚えやすい名前。その姿勢は創業当時から一貫している。
お客様の声(レビュー)も、売れ行きを左右する重要な要素だ。Oisixの商品ページには、購入した顧客の感想がたくさん掲載されている。創業前、高島社長が主婦を中心にヒアリングを実施したところ、毎日買い物をするスーパーを選択する基準は「青果物のクオリティ」という意見が圧倒的だった。
そのクオリティに関する情報は何で得るのかというと、主婦にとっては断然口コミだ。そう考えるとおのずとお客様の声を掲載する重要性が分かってくる。同社の社内にはお客様から寄せられた感想が、あちこちに張り出されている。それを生産者と分かち合う努力も怠らない。あくまで、お客様からの生の声を重要視する。
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