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「スマートキッチン」が切り開く、食と料理の700兆円市場【連載】池田園子の「マーケ目線」 第5回(1/2 ページ)

食・料理は市場規模が大きく、全ての人がターゲットになるまれなジャンル。なのにキッチンは進化が止まっている。ここにイノベーションを起こすと意気込む「Smart Kitchen Summit Japan」の試みを紹介する。

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 「Smart Kitchen Summit(スマートキッチンサミット、以下SKS)」は、食・料理×テクノロジーをテーマにしたカンファレンスだ。15年以上にわたりコネクテッドホームやIoT(モノのインターネット)の領域でコンサルティング事業を手掛けているNextMarket Insights創業者のマイケル・ウルフ氏が米国シアトルで2015年に立ち上げた。

進化の止まった料理のプロセスにイノベーションを

 コネクテッドホームあるいはスマートホームとは、住まいそのものや家の中に存在するさまざまな家電製品をネットワークに接続し一括管理可能にしてより快適な住環境を実現しようというコンセプトだ。エアコンの温度調整や照明のコントロール、テレビ番組のレコメンデーションなど、さまざまな側面を持つ。UI(ユーザーインタフェース)として「Google Home」や「Amazon Echo」など音声入力対応のスマートスピーカーも注目されている。

 しかし、リビングルーム(特にオーディオビジュアル)やホームセキュリティ関連は成長している一方で、住まいの一部であるキッチン関連のテクノロジーは、進化のスピードが遅い。

 「食・料理にはたくさんの解決すべき課題があり、しかも全ての人がターゲットになります。市場規模は全世界で700兆円超になるといわれる、大きな可能性を秘めた分野です。近年発展してきたAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、フードサイエンスなどのテクノロジーを通じて、キッチンに大きな改革を起こしたいと考えました」

 こう語るのはコンサルティング会社シグマクシス ディレクターの田中宏隆氏だ。パナソニックやマッキンゼーでキャリアを積みハイテク業界に長く携わってきた田中氏は2016年10月、初めてSKSに参加した。そして、ここでいろいろなセッションを聞く中で、食・料理が人を幸せにできる分野であること、また、日本が持つ数多くの高度なテクノロジーを生かせる分野であることを確信した。

 このときの参加者は500人超。1日半で20個以上のセッションが開催され、登壇企業は50社以上と大盛況で、数多くのフードテック系スタートアップ、大手家電メーカー、半導体メーカー、レシピサイト、小売りプレイヤー、メディア、そして投資家といった、非常に多岐にわたる分野の人々が集っていた。ところが、登壇企業にも参加者の中にも、日本人は見当たらない。これはあまりにもったいないと田中氏はウルフ氏と直接交渉し、SKSの日本での開催を提唱。2つ返事でOKを取り付け、わずか10カ月後の2017年8月25日に第1回「Smart Kitchen Summit Japan(以下、SKSJ)」が開催された。

第1回SKSJに登壇したマイケル・ウルフ氏(左)と田中宏隆氏(右)《クリックで拡大》

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